第17章 …不惜身命
「……意識が戻ったばかりだ。寝たままでいい、おれの質問に答えろ」
「……あ、は、はい……」
ハーデスはゾロの言葉に従い、また床に横になった。
彼は一息吐いてから、彼女に訊ねる。
「まず……名前を言ってみろ」
「……私は、ハーデス……と申します」
緊張で震えながらも、はっきりと返答した。
ゾロは無言で頷き答える。
「……ハーデス……良く名乗ってくれた。おれの事は知ってるだろうが……おれは、ロロノア・ゾロだ」
「は、はい……お会い出来て光栄です……ロロノア・ゾロ様……いえ、魔王にして、二代目死皇帝陛下……」
「陛下なんて柄じゃねえ……『ゾロ』でいい」
ぶっきらぼうにそう言うと、ゾロは手に持っていた封筒へと視線を移し、次の質問へと移った。
「ルシファーの野郎から、次の指令は受けてんのか?」
「あ……いえ、閣下は何も……ただ……貴方にお会い出来た時、その文書をお渡ししろと……」
彼女は、ゾロが手にしている大きな封筒を指差した。
「その中には、ニンゲンには見えない様に魔術で隠された極秘文書と、閣下から死皇帝陛下へのお手紙が入っております……」
聞いたゾロは眉間に皺を寄せ、無言で封筒を覗き込んだ。
良く見れば、確かに手配書と手配書の間に不自然な隙間……次元の歪みの様な空間が空いている。
「……これか」
ゾロの指先がその隙間に触れた瞬間。
彼の中に潜む魔力が呼応し、青白い光と共に、分厚い機密文書と漆黒の封筒が実体化して現れた。
ゾロは、ルシファーからの手紙である漆黒の封筒を先に開けた。
その手紙は大魔王らしい、美しい魔導文字で書かれていた。