第16章 …異変
流石は麦わらの一味が誇る、最強の女性コンビ……ナミとニコ・ロビンである。
彼女達の圧力にゾロは意図的に反論せず、背負っている刀を下ろし、壁際に胡座を搔いた。
(……まあ『あれ』は……おれ以外はどうせ開けられねえし、読めねえからな……)
腕を組み、目を閉じる。
ナミとロビンがバッグのファスナーを開けようとするが、幾ら力を入れてもビクともしない。
「おかしいわね……どうやったら開くのかしら……海水に浸かったから、錆びちゃったのかな」
「それにしては、とても綺麗ね。バッグ自体が水浸しになってないし……本当不思議ね」
二人のやり取りを聞きつつ、ゾロは目を閉じたまま口を開く。
「……開けるだけ、おれが開けてやろうか?中身はお前等が見ればいいだろ」
「そうね、あんたの馬鹿力だったら簡単に開くかも。お願い出来る?」
ナミの声に、目を開けゆっくりと立ち上がる。
バッグに近付き、ファスナーの金具を指先で軽く摘んだ。
力を入れる素振りすらなかったが、それは滑らかに開いた。
その様子を目にしたロビンが微笑む。
「流石はゾロね、ありがとう」
「この位、お安い御用だ」
ゾロはぶっきらぼうに返すと、また胡座を掻いて目を閉じた。
「ナミさん、そんなファスナー位、おれが開けたのに……クソマリモなんかにレディーの大事なバッグを触らせるなんて……」
縁側で煙草を吸っているサンジが、先程のお返し、とばかりにゾロを睨み付ける。
しかしゾロは反応せず、完全に無視を決め込んでいる。
一部始終を見ていたブルックは、一人首を傾げた。
(……やはり、何かおかしい……何時もなら、サンジさんに食って掛かるのに……それに今のファスナー……全く力を入れていない様に見えましたが……)
しかし、ナミとロビンは、そんな事に気付きもせず、相変わらずバッグと向き合っている。
「じゃ……ちょっと失礼するわよー……」
バッグの中から取り出したのは、数着の衣服やトラベルセット。
やはりどれも海水に濡れていない。
そして、バッグの一番底から、黒い刺繍糸で幾何学模様が施された、分厚い白布の包みを取り出した。
「何かしら、これ……随分重いわね……」
慎重に布を解くと、中から百科事典の様に分厚い黒い本が一冊と、大小二つの白い封筒が現れた。