第16章 …異変
「城に戻る途中、砂浜に打ち上げられてたんだ……どっか部屋空いてるか!?」
「それなら、みんなが使っている奥の部屋へ!こっちでござるよ!!!」
案内された部屋に布団が敷かれると、ゾロは彼女を布団に寝かせた。
「おい……聞こえるか……?ハーデス……」
何度か声を掛けるが返事はない。
やはり意識を失っている様だ。
だが、チョッパーの見解通り心臓はしっかり動き、呼吸も安定している。
生きている。
その事実に安堵した瞬間、彼女の中から強烈な『負の感情』がゾロに流れ込んで来た。
その表情が、一層険しくなる。
(こいつ……飛んでもねえ『闇』を抱えてやがる……このまま放っとく訳にゃいかねえな……)
その時、部屋の襖が勢い良く開いた。
「おいっ、クソマリモ……てめえ……!!!」
その怒声に対し、ゾロは返事もせず、ただ鋭い隻眼だけをサンジへ向けた。
(……黙れ……!!!)
思わずサンジは言葉を飲み込んだ。
彼の目には、ゾロの右目が一瞬人のものとは思えない、冷たい銀色の光を放った様に見えたのだ。
そこへ次々と仲間達がやって来た。
チョッパーが息を切らせつつ、心配そうにゾロに声を掛ける。
「ゾロ……早く治療しねえと、本当ヤバいかも知れねえから……」
「判ってる……このバッグはおれが預かる。悪りぃが意識が戻って話せる様になったら、おれを呼んでくれ……こいつと話しがしたい」
「え?あ……うん、判った」
ゾロが、彼女が抱える鞄に手を伸ばしたその時。
バッグが、まるで主を自ら認識したかの様に、少女の手を解いてゾロの左の掌へ吸い寄せられて行った。
(……確かに、受け取った……)
ゾロは心の中で静かに呟き、持ち手を強く握ると、隣の部屋へ移動した。
床にバッグを置き、ファスナーに手を掛けたその時。
ナミとロビンの声が飛んで来た。
「ちょっと、あんた!人の持ち物を勝手に開けちゃダメじゃない!」
「しかも、女の子のでしょ?男のゾロが開けるのは……ねえ、ナミ?」
「そうよー、ここは鎖国状態のワノ国よ。彼女が何処の誰なのか、何をしに来たのか色々調べないと行けないし……女子の事は同じ女子の私達が調べるから、あんたはそこで黙って座ってなさい」
「……あ?いや……判ったよ……」