第16章 …異変
「おい、ゾロ!そこはおれの特等席だぞ!!なんでお前が登ってんだよ!!!」
「あぁ?すぐ降りるから、ちょっと待ってろ」
ゾロは苦笑しつつ、ファイルからシジルが描かれた二枚の羊皮紙を取り出し、ライオンの顔に近付けたその時。
羊皮紙が青白い光を放ち、それに吸い込まれる様に消えて行った。
……すると。
(お帰り、ゾロ。これは確かに受け取ったよ。これからぼくは揺れもしないし、沈まない、そして錆びもしない……海がある限り、これからも君達と一緒に……)
それは紛れもない、サニー号の声だった。
ゾロは振り向き、ルフィの顔を見る。
膨れっ面をしたまま、ゾロに向かって頻りに何か文句を言っている。
サニーの声は、彼には聞こえていなかった。
ゾロはその場にしゃがみ込むと、ライオンの頭に手を置いた。
(サニー、ありがとな。これから恐らく海戦もあると思うが……宜しく頼むぜ)
(大丈夫!これからも、海はぼくに任せておいて!)
サニーの心強い言葉に、ゾロは無言で頷き、そこから甲板へと飛び降りた。
「ゾロ!今度おれの特等席に上る時はちゃんとおれに言ってくれよ」
「判った判った、悪かった」
ゾロは苦笑しつつ、ルフィにそう言いつつ皆のいる場所に戻って行った。
と、戻って来た彼に、ナミが訊ねる。
「ところでゾロ。あんたその格好で城に戻る気?」
「あ?そうだが……」
「あんたねえ……忘れたの?ここワノ国は、鎖国中なのよ?そんな訳判んない格好で歩いたら、外国人ってすぐに判っちゃうじゃないの!着替えて行きなさいよ」
「……別にいいじゃねえか。少なくとも侍の奴等はおれ達の事判ってるんだからよ。それに、着替えるの面倒臭えし」
捲し立てるナミに、ゾロは眉間に皺を寄せてそう答えると、さっさと船を降りてしまった。
「んもー!本当に何にも考えてないんだから……って、ちょっとあんた!!迷子になるんだから先に行くんじゃないわよ!!」
「ハッハッハッハ!ゾロが戻って来て、また一段と賑やかになったのう」
麦わらの一味に加入したばかりのジンベエは豪快に笑いつつ、皆に続いて船を降りるのだった。
彼等はモモの助達が待つ城へ、わいわいと騒ぎながら砂浜を歩いて行く。
その時、遠くからこちらへ向かって走って来る人影が見えた。
大きく手を振り、何やら叫んでいる。