第16章 …異変
「おいおい、ゾロ。おれを誰だと思ってんだ?サイボーグ・フランキー様だぜ!お前が使う超重量のバーベルだって運んだんだ、そんな荷物位、どうって事ねえよ」
フランキーは、フン、と一つ鼻を鳴らし、トレーニングルームのあるマスト上を見上げた。
「だが、あの部屋を改造するってんなら……荷物を運ぶ前に、部屋のリフォームを先にしなきゃならねえ。で、どんな風に変えたいんだ?」
「壁を防音壁にして、洗面台を付けて欲しいんだ。出来るか?」
「防音壁に洗面台?なんだお前……何を始める気でいるんだ?」
「……別に大した事じゃねえよ。で、出来るのか?」
「そりゃ出来るに決まってるだろ!明日宴が終わったら早速作業に取り掛かってやるから、楽しみに待ってろよ」
「ちょ、ちょっと待てよ。じゃあ出航は遅くなっちまうんじゃねえのか?ルフィ、お前それでいいのかよ」
ウソップの言葉に、ルフィが頭の後ろで両手を組みながら笑って答える。
「フランキーは世界一の船大工だぞ。それに、このサニーは世界一の船なんだ。一日や二日出航が遅くなったってどうって事ねえよ。なあ、フランキー」
「おうよ!こんなリフォーム位、一日で完成させてやらあ!」
「ありがとな、フランキー……ルフィ」
ゾロが静かな口調で礼を言うと、フランキーは右手の親指を立てて見せた。
「いいって事よ」
「気にすんな、ゾロ!ようし、話も決まったところで……そう言やあ、おいチョッパー、お前、薬草持ったのか?」
「あっ、行けねえ……持って来る!」
ルフィの言葉に、急いで医務室に向かうチョッパーを見たゾロは、ある事を思い出した。
(そうだ……あいつに、渡さねえと)
ゾロは黒い布をそっと捲り、ボストンバックを探す。
黒い布の下には、数点のショッピングバックやギターケース、ロキが用意したキャビネット等が見えた。
(やっぱりな……あの野郎、何にも言わねえで……)
……と、心の中で呟いた。
お目当てのボストンバッグは、その手前に置かれていた。
バッグに手を伸ばしファイルを取り出すと、足早にその場を離れた。
「おいマリモ、お前何処行くんだ?」
「……野暮用だ」
サンジの声に振り返らず答えつつ、船首に向かう。
そしてゾロが船首であるライオンの頭に登ったその時。
後を付いて来たルフィが大声を上げた。