第16章 …異変
ギタリストを目指すと誓ったゾロへ、ロキが用意し置いて行った荷物である。
黒い布に覆われた荷物に、仲間達は驚愕するばかりだった。
「何だよ、この荷物は……!一体誰が運んだんだ?」
小首を傾げるフランキーに、サンジが言う。
「船を見張ってくれてた奴等の話じゃ、どうやらマリモの友達……って奴が来て、この荷物を置いてったそうだぜ。ま、待てよ……?クソマリモの友達……って、まっ、まさか……るっ、ルイ・サイファーちゅわあん!!!?」
サンジは可憐な少女……ルイ・サイファーの姿を思い出すと興奮し、瞳をハート型にして騒ぎ始めた。
そんな彼を他所に、ルフィとウソップ、チョッパーが興味津々で荷物に近付く。
「も、もしかして……肉ーっ!?」
ルフィが涎を垂らしながら黒い布に手を伸ばしたその時。
ゾロが無言でルフィの首根っこを掴み後ろへ放り投げると、仲間達に向かって静かに言った。
「これは、おれの『大事な荷物』だ……こいつをトレーニングルームに運ぶんだけどよ……フランキー、ちょっとトレーニングルーム、改造してもいいか?」
「改造?……やってもいいけどよ、お前出来んのか?」
「宴が終わってからでいいんだ。手伝ってくれりゃ、助かる」
「おう、任せとけ!……ってかよ、この荷物、本当どうしたんだ?」
「……ちょっとな、貰ったんだ」
ゾロはそう言いニヤリと笑うだけで、他は何も言わなかった。
(しっかし……ロキの野郎、こんなに沢山持って来やがって……)
ロキとはたった一日だけの付き合いだったが、剣豪とロックスターとの間には、確かな絆が生まれていた。
『何時か弾ける様になったらよ……その時は、一緒にやってくれねえか……?』
ロキにそう言った時、彼は快く承諾してくれた。
『いいねえ!やろうぜ、Brother!』
それは、その場だけの軽い返答ではなかった。
ギターの代金を立て替えただけでなく、ギターの弾き方や練習方法、そしてROCKやHEAVY METALと言う音楽の真髄……魂を、詳細に教えてくれた男である。
ゾロはこの目の前の荷物が何なのか、中身を見ずともはっきりと判っていた。
ゾロは荷物の一つに手を伸ばすと、フランキーに視線を向けた。
「こいつ等は絶対落としちゃならねえ……重量もかなりあるが、トレーニングルーム迄、運べるか?」