第16章 …異変
「あ?……ああ、まあ、そんなところだ」
笑うルフィに苦笑しつつ、ゾロは適当に頷きながら頭を掻いた。
「ゾロさん、お帰りなさい」
「おう……ブルック、ただいま」
仲間達はゾロに駆け寄るなり、そう言って彼を迎えた。
そんな中、ルフィは自身の腕の中にいるゾロの体の感触に、一人違和感を覚えていた。
何時もの着流しの柔らかい感触ではない……滑らかで、丈夫そうな感触。
ルフィはゾロから少し離れて彼をまじまじと見る。
東の空が徐々に明るくなって行き、朝日に照らされた三刀流の剣豪の姿が、はっきりと仲間達の目に映し出された。
今迄着ていた着流しとはまるで違う、異質の黒い衣服。
彼等の目の前にいたのは……レザージャケットを羽織るゾロ。
その左脚の太腿には、銀色に輝くリボルバーの入ったレッグホルスターが見えた。
この世界にもレザージャケット等は勿論あるが、ゾロにしては余りにも意外な装いに、仲間達の目が点になる。
「ゾロ、お前……どうしたんだその格好」
「ああ、ちょっとな。ここに戻って来る途中で着替えたんだ」
「着替えたってお前、一体何処行ってたんだよ」
眉を顰めるルフィに、ゾロは笑みを見せるだけで暫く答えなかった。
が、一言だけ。
「……今迄行った事のねえ所に、行って来ただけだ」
そう言って微笑むゾロに、仲間達は首を傾げる。
特にルフィは、何処に行って来たのか知りたいのだろう。
立ち上がり、三振りの刀を背負って歩き出そうとするゾロの周りをチョロチョロしながら、何度も何度も訊ねる始末。
「……ったく、しょうがねえなあ……」
ゾロは呆れて苦笑しながら、脅す様に低い声色で答える。
「……おれぁなあ……『あの世』って所に、行って来たんだ……」
仲間達の視線がゾロに集まる。
一瞬の静寂の後……一斉に、どっ、と笑いが起きた。
「なんだよ、何が『あの世』だ!ゾロ、お前もうちょい面白い事言えねえのかよ!!」
フランキーの言葉に、ロビンがクスクスと笑う。
「うふふふ……あの世から帰って来たの?確かに、ゾロはどんな事あっても死ななさそうですもんね」
そんな呑気な会話を他所に、ウソップとチョッパーは半泣きになりながら、抱き合って震えている。
「あっ、あの世って……ゾロ、お前オバケなのかーっ!!お、おれ……恐いよおーっ!!!」