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魔王之死刀

第16章 …異変


 さて、魔人死神により元の世界……『青い星』はワノ国の鬼ヶ島跡に戻った筈のゾロであったが、彼は別の場所に姿を現していた。
 空も大地も、色彩を完全に失った様な乾いた灰色の世界。
 木々は枯れ、生物の気配は一切感じられない。
 代わりにいるのは、青色や黄色にぼんやり光る『思念体』と呼ばれる魂、そしてガキやスライム等と呼ばれる低級霊だけ。
 ……ここは『幽界』……命を失った生命体の魂が最初に訪れる、人間達が『あの世』と呼ぶ世界の一部である。
 宙に浮かぶ死神は、目の前に立つ三刀流の魔王に恭しく頭を下げると、幽界について静かに語り始めた。

「……この幽界は、先代の死皇帝が治めておられた世界の一つでございます。地球には地球の幽界が、青い星には青い星の幽界が、それぞれございます……二代目死皇帝であらせられる貴方様にもこの世界を知って頂こうと思い、この場所に立ち寄った次第です」

「アポフィスの治めていた世界……おれが倒れていたのは、ここなのか?」

​ ゾロは腰の刀の柄に手を添えたまま、灰色の世界を見渡した。
 
「はっ……左様でございます。そしてこの魂が訪れる世界は『戦いの場』でもあります」

「戦いの場……?どう言う事だ」

 ゾロの目が鋭さを増す。
 死神は、静かに続けた。

「新たな魔王である貴方様……死皇帝が再来したと言う事実は、まだ四文字の残党には知られておりません。その状態でニンゲン界で敵に遭遇し力を振るえば、貴方様の強大な魔力によって即座に悟られてしまいます……そこで、この幽界へと敵を誘い込み、戦場とするのです」

「なるほど……だが、それでも奴等に判っちまうんじゃねえか?あいつ等もここにも来れるんだろ?」

「仰る通り……この幽界は先代死皇帝の管轄であり、何れは貴方様が治める世界でごさいますが、今は私が守護しているとは言え、敵も侵入する事はしばしばごさいます。そこで戦闘領域……『ゾーナ・プグナエ』と言う結界を張るのです」

 死神が鎌を軽く振り上げると、彼等を中心に青白い光を纏った幾何学模様が現れ、一瞬で空間と地面に広がって行った。
 それは、直径約百五十メートル程の青白いドーム型をしていた。

​「このゾーナ・プグナエはニンゲン界でも展開出来ますが、こちらに引き込んで結界を張れば、更に気付かれ難くなります」

​「戦闘領域、か……」
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