第10章 ・対極
黒いテーブルの上に並べられたのは、どれも重厚な輝きを放つ名銃だ。
「まずは軽めの奴から行こうか。グロック26……反動が小さい」
ロキが滑らかにスライドを引く。 金属の乾いた音が、静寂を切り裂いた。
見ていたゾロは、無言で銃を手に取る。
刀の柄より短いそのグリップに、違和感を覚えた。
重さはある。
だが刀とは別の鋭さを、その手に感じた。
「セーフティー解除、両手で構えて……腕は真っ直ぐ。でも、力み過ぎるな」
ロキが背後から軽く肩に触れ、姿勢を直す。
ゾロは呼吸を整え、狙いを定めた。
引き金を引く。
銃声と共に火花が散り、弾丸が的を貫く。
紙が焼ける様に裂け、中央の一点が黒く焦げた。
「Yeah!悪くねえな」
ロキが満足そうに笑う。
ゾロは銃口を見詰めながら、首を傾げた。
「こっちの世界の銃は、おれの世界のものとは全然違う……流石の破壊力だな」
「そうだろ?気に入ったか?」
「ああ……それでいて、刀とはまた違う『生き物』みたいで……なかなか面白いな」
そう言うゾロの瞳が、一瞬ギラリと鋭く光った。
次にロキが手に取ったのは、銀色に鈍く光るコルト・アナコンダ……8インチモデル。
銃弾は44マグナム。
銃身の長さ、金属の質量感、握る前から重さが伝わって来る。
「これが……アナコンダ。お前に似合うと思ってな」
「随分重そうだな」
「その分、魂も重い」
ロキの言葉に、ゾロは納得した様に頷いた。
ゆっくりと銃を持ち上げたその瞬間、ゾロの目付きが変わった。
剣を抜いた時の様な殺気が、彼から一瞬放たれる。
引き金に指を掛け、照準を合わせる。
……轟音が響き、薬莢が跳ねた。
その反動を両腕で受け止めながら、ゾロは思わずニヤリと笑った。
「悪くねえな……マジで面白れえ……重くて強え武器だ」
「流石、伊達に体は鍛えてねえって事か……反動が少ねえのは驚きだ。さて、次のが最後の一本だ」
ロキが差し出したのは、漆黒のS&W M327R8。
他の銃とは違い、光を吸い込む様な銃身が、静かにゾロを待っている。
「こいつは軽いが、精度は抜群……扱いを間違えれば、命を持って行かれる」
「……へえ、なかなかいい銃だな」
ゾロはゆっくりと銃を手に取った。
指先に冷たさが伝わる。