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魔王之死刀

第10章 ・対極


「Yeah!! Welcome to Tokyo, buddy!!ようこそ『こちらの世界』へ!!!」

 ロキは高らかに笑う。

「ニンゲンも魔神族も、みんなHappyに生きてる……ここじゃ、剣よりも『リズム』がモノを言うのさ」

 ゾロの瞳の奥に、微かに興味の光が宿る。
 自然と口端が上がった。
 ロキは笑いながら、彼の肩を軽く叩く。

「Brotherも聞いてると思うが……本物のトウキョウは今、ダアトになってる。この街は、世界の混乱を避けるために『四文字の野郎』が創った『代わりのトウキョウ』だ」

 その言葉に答える様に、ゾロは空を見上げた。
 高層ビルが並ぶ空は、やけに狭く見える。

「一時期、おれ達魔神族とニンゲンは対関係にあった……だが、和平条約が結ばれた後、閣下は先の戦いで死んだニンゲンや動植物を、全て生き返らせたんだ。魔神族が好きな奴、嫌いな奴、関係なくな……街も綺麗に復興させたんだぜ。お陰で今じゃ、以前よりも活気のある大都市になった……ニンゲンの間でも閣下は人気者さ。ニンゲンと魔神族が友好関係にあるのは、全て閣下のお陰って訳だ」

 ゾロは聞きながら、行き交う人々を無言で見詰めていた。
 ニンゲンと魔神族が、楽しそうに歩みを進めている。
 通りを行く群衆の顔には笑みがあり、少しの疲れがあり……『命』がそこにあった。
 喧騒の中で見え隠れしている、人間の持つ『光』と『闇』。
 きっとルシファーは、そんな人間に興味……いや、それ以上の感情があるのだろう。
 ゾロの脳裏に、ヒーホー君との会話が浮かぶ。

『色んな星のニンゲンや生き物を観察するのが好き』

 ゾロの顔が、自然と緩んだ。

「そうか……ルシファーの奴は、本当に人間が好きなんだな」

 ゾロの低い声に、ロキが大きく笑い、頷いた。
 その横を、スーツ姿のサラリーマンがスマートフォンを耳に当てて通り過ぎて行く。
 ゾロはそれを、何気なく見ていた。

「閣下曰く……『私はニンゲンを可愛がりもしなければ、見捨てもしない』……まあ、結局、Brotherの言う通り、ニンゲンが大好きなんだよ。それは昔っから、全く変わってないな」

 ロキは腰に手を当てながら、信号待ちの人々を見渡した。
 青になった途端、喧騒が風の様に流れ、街の匂いが動き出す。
 ゾロはその光景を目に焼き付ける様に、ゆっくりと歩み出した。
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