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魔王之死刀

第9章 ・宿命


「そう……アポフィスが星を離れ、僕達の住む天界に来た理由は、そのマグネタイトを僕達に分け与える為でもあったんだよ」

「……そうか……それで奴等は星そのものを奪おうとしてるのか……!!」

 怒りを含んだゾロの声が、低く辺りに響く。
 ナホビノ……二つある意思の一つである『アオガミ』が、静かにその意思を伝える。

「……その通りだ、死皇帝。マグネタイトは我等魔神だけでなく、星や宇宙そのものを支える力の一つ。奴等はそれを我が物にしようとしている……だが幸いにも、奴等はまだその在処を知らぬ。我々魔神族も、この場所を知っているのはごく一部の者だけ。しかも、簡単には辿り着けぬ場所……星の奥深くに、前死皇帝によって封じらたままなのだ」

 続けて、身体にタトゥーの様な紋様を刻む混沌王・人修羅が口を開く。

「奴等はその場所を突き止めた時、残党を率いて星に攻め入るだろう。それ迄の間、おれ達は地球と魔界、それぞれを守護する事になっている。死皇帝……おれ達は仲魔だ。迷惑だなんて言葉は不要だぞ」

 人修羅の笑みを受け、ルシファーは穏やかに頷き、ゾロへと視線を戻す。

「僕達が本格的に動くのは、奴等が封印への入り口を見付けた時。現在は仲魔達が青い星の各地で奴等の動向の監視を続けている傍ら、その封印を守護している。君には、それ等の指揮を任せたい……仲魔は自由に使ってくれて構わない。やってくれるかい?」

「おう、受けてやるよ。奴等の動きに変化があったら、すぐに知らせる」

「ありがとう、ゾロ……流石は僕の友だ」

 大魔王の短い謝意に、ゾロはニヤリと笑って返した。
 それだけで、互いの信頼は確かに伝わった。

「奴等が封印へと向かったと同時に、我等も動く。その時はゾロ、君も参戦して欲しいのだが……」

「勿論、行ってやるぜ。その時は嫌って程、敵をぶった斬ってやるよ」

 ゾロの頼もしい言葉に、皆の士気が静かに上がる。
 大魔王は力強く頷いた。

「ゾロ、本当に感謝するよ……君の持っている死刀のタリスマン……それが封印を解く鍵なんだ。それは君にしか使えないものだからね」

「……こいつが……封印を解く鍵……」

 ゾロは、スラックスのポケットに手を入れ、タリスマンを取り出す。
 黒隕鉄の表面には、切っ先を天に向けた一振りの剣と、それに絡み付く一対の羽を持った蛇の姿が彫られている。
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