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魔王之死刀

第9章 ・宿命


「死皇帝ロロノア・ゾロ……命を受けてくれた事に感謝する……期待しているぞ」
 
 そして、大魔王は円卓の同族に向き直ると、静かに右手を上げる。
 その一動作に、大広間の空気がまた変わった。

 「……これを以て、本日の会議を閉じる。皆、大義であった」

 低く静寂な声が響く。
 重厚な扉が開け放たれると、魔王達は大魔王と死皇帝に一斉に一礼をし、静かに退出して行った。
 そんな中、上座に近付く者達の姿があった。
 ナホビノと人修羅、そして葛葉ライドウと、黒猫の業斗童子……ゴウトである。
 ゾロの足元で、黒猫が短く鳴いた。
 その正体は、初代葛葉ライドウの魂。
 彼の鳴き声は人間には聞こえず。
 魔神族の大魔王や人修羅、ナホビノは勿論、ゾロには『人の声』として確かに届いていた。
 愛くるしい姿だが、人の声はそれとは正反対の、落ち着きある壮年の男の声色であった。
 ゾロは、自分を見上げているゴウトに視線を落とす。
 小さな体に宿る気配は、嘗て戦場を駆けた戦士のそれだった。

「……お前等が、おれの力になるって……?」

「……その通りだ。このライドウと我、業斗童子は、そこに居られる大魔王の命を受け、時を越えてここに参上した。ライドウは十四代目のデビルサマナー……まだ若いが、戦いの腕は確かだぞ」

 その声に、ライドウが静かに頷く。
 その瞳には、ゾロの姿がはっきりと映っていた。
 だがゾロは、目を閉じ首を横に振る。

「……ありがてえ話だが……お前等は地球の人間だろ。地球にも魔界にも、まだ奴等の残党は残ってんだ。それに、お前等はおれの住む星とは無縁……これは、おれの戦いでもある……お前等を巻き込みたくはねえ。迷惑は掛けられねえよ」

「……では、もし、無縁ではないと言ったら?」

「……あ?どう言う事だ……?」

 ゴウトの言葉に、ゾロは怪訝な表情を浮かべる。
 その視線の先で、ルシファーが穏やかに口を開いた。
 その口調は、先程の重々しいものとは打って変わって、清々しい声色に戻っていた。

「実はね、ゾロ。青い星の地下深くに、影の星の時代より、大量のマグネタイトが眠っているんだ」

「ま、マグネタイトだって……?」

 ゾロは思わず声を張り上げた。
 マグネタイトは魔神に取って、必要不可欠なネルギー体。
 彼の胸に、僅かに緊張が走る。
 ルシファーが頷いた。

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