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魔王之死刀

第9章 ・宿命


「オウ!!オレ様、頑張ル!!!」

 セトの気合の入った声が、広いバルコニーに響く。
 ゾロも、麦わらの一味では二番手……No.2の剣豪、戦闘員である。
 彼はその立場がどれ程重要であるか、身を持って知っている。
 ゾロは満足そうに頷くと、黄龍と蝿王に、再び部隊を託した。
 
「お前等、色々大変だろうけどよ……また暫く頼んだぞ。サマエルと一緒に、あいつ等を頼む」

 ゾロの視線が、バルコニーの奥に控えているサマエルに向けられる。
 紅い蛇の魔王は、静かに頷いた。
 ベルゼブブと黄龍も、胸を張って答える。

「お任せあれ、死皇帝」

「我が君、どうか安心して旅立たれよ。必ず戻って来て下され……我等一同、お待ち申しておりますぞ」

 ゾロは、彼等の言葉に強く頷くと、バルコニーの下で歓声を上げ続ける自分の部下達……死皇部隊に向かって高々と左手を上げ、その場を去って行った。
 ゾロ達は、再び護衛隊に率いられ、大広間に向かう。
 その間も、死皇帝ゾロの堂々とした振る舞いに、その場にいた者達の感嘆と歓喜の声が上がった事は、言う迄もない。
 皆が大広間に戻ると閉会の言葉の前に、大魔王からもう一つ、ある重大な事案の発表がなされた。
 ルシファーは起立したまま、その口を開く。
  
「……さて、皆も気付いていると思うが……死皇帝が戻った……遂に『刻』が来たのだ。『影の星』を、取り戻す刻が……」

 少年の姿の大魔王ルシファーから、それ迄に見せなかった威厳あるオーラが放たれている。
 一同の顔に、闘志と覚悟が入り混じった表情が浮かぶ。
 ゾロは直感で、その異様さを感じ取った。

(これは……只事じゃねえ……)

 隣に座しているゾロは、ただただ固唾を飲んで見守っていた。
 ルシファーは皆を見渡してから、指を、パチリ、と一つ鳴らす。
 すると円卓の中央に、巨大なホログラムが浮き上がった。
 そこには、地球ともう一つ、漆黒の星のホログラムが並んで浮かんでいる。
 彼はそれを目にしつつ、再び口を開く。
 
「……『影の星』……皆も知っての通り、嘗ての死皇帝アポフィスが生まれた星……今は『青い星』と呼ばれる、地球の裏側の次元にある星だ」

「なっ……!!?」

 ゾロの口から、思わず大きな声が出た。
 大広間にその声が響き、周囲の魔王族達が一斉に視線を向ける。
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