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魔王之死刀

第9章 ・宿命


 蛇族の兵士が叫ぶ。

「当たり前です、姿も生き方も変わろうとも、貴方は我等の王……死皇帝だ!!!」

 龍族の兵士が叫ぶ。

「ずっとずっと……あんたの帰りをおれ達は待ってたんだ……死皇帝ゾロ、あんたは間違いなく、おれ達の王だぜ!!!」

 狼族の兵士が叫ぶ。

「死皇帝の力を受け継いだあんたは、間違いなく死皇帝……もう二度と、おれ達を置いて、玉砕なんてしないでくれよ!!!」

 歓喜する者の声、嬉し泣きする者の声……独り独りの声が、ゾロの耳に届く。
 嘗ての死皇帝と共に生き、共に戦って来た者達の魂の叫びが、ゾロの魂に否応なく響き渡る。
 彼等は皆、死皇帝の帰還を、永い永い間、信じて待っていたのだ。
 感極まった彼は言葉に詰まり、思わず俯いてしまった。
 彼はその胸の閊えを取り去る様に、大きく深呼吸してから顔を上げる。
 彼等はまた、静けさを取り戻した。
 
「……お前等の気持ちは、良く判った……お前等は、単なる兵士じゃねえ、おれの大切な仲魔だ。そのお前等の魂、今からこのおれが……責任を持って預かる」

 ゾロは大声を張り上げる事はせず、しかしその声色には、強い覚悟と魔王としての威厳が確かに含まれていた。
 彼は、静かに語り続ける。

「……聞けば、まだ四文字の奴の配下……ベテルの奴等は少なからず残っているそうじゃねえか。また何時戦いが始まるかも知れねえ……だが、お前等は百戦錬磨の兵……おれはまた青い星に戻るが……慢心せず、日々鍛錬に励み、戦うべき時は共に戦い、共に勝ち続け、共に生き続けよう!!!」

 ゾロは力強く、声を張り上げる。
 その瞬間、彼の軍勢が一斉に拳を掲げ、声を上げた。

「死皇帝ゾロ!!!死皇帝ゾロ!!!死皇帝ゾロ!!!」

 その咆哮は再び地を揺るがし、風を起こし軍旗をはためかせた。
 バルコニーの後方からも、彼を祝福する歓声が上がった。
 その大歓声を耳にしながら、ゾロはタリスマンを強く握り締め、軍勢を見渡す。
 眼下の兵士達の顔には、死皇部隊としての誇りと希望が、宿っていた。
 
「おれは誓う……おれは必ず、お前に相応しい強い魔王に、強い男になってやる!!!」

 ……こうして、麦わらの一味の剣豪であるロロノア・ゾロは、この時より正式に、魔王……死皇帝ロロノア・ゾロとして、生きる事になったのである。
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