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魔王之死刀

第8章 ・記憶


『……おれは、永遠に命として生まれる事のない魂……
……呪いを背負った魂……
……そう言う宿命を負った存在……

だが、それでも……おれは、力が欲しい。
どんなものにも負けない、絶対の力が……

……最強の力が、欲しい……』


『……呪われし魂よ。
汝は、力を欲するか……。

……ならば、この我を吸収せよ。
我は、汝が求める力そのもの。

だが……我が力は、死と闇、そして呪いを齎す。
汝は、魂を消し、命を絶やす存在となろう。
そして汝は、命を生み出す事能わず……。
闇を齎し、命と魂に静寂を与える者なり。
そして……光を支え、影に生きる存在なり。

汝は、初めより呪われし魂。
我こそは、死と闇の化身。
嘗て、神を名乗りし者に呪いを与え、破滅させた存在なり。

やがて汝は、生けるままにして呪いを背負い、数多の命と魂を消滅させ、血の海と屍の山を築くであろう。

……それでも尚……力を欲するか?』


『……おれは、元より呪われた魂。
……死と闇の力……上等だ。

お前の力、このおれが受け継ごう。』


『……ならば、この力……汝の自由に使うが良い。

ただ、一つだけ約束して欲しい。
……世界に光を齎す者達の影となり、彼等を支えてやってくれ。

約束してくれるか……?』


『……判った、約束しよう。』


『……ならば、これより……。
我は汝の力となろう。
我等は今より、合一魂となる。
この我、死皇帝アポフィスの力を宿す者として。

汝が生まれ出づる刻が来たなら、汝はそれを知ろう。
それ迄この魔界で、静かに待つが良い。

……先の約束、忘れてくれるな』


『……重々承知した。

……感謝する』



 ……蘇った、魂の記憶。
 ゾロは、突然円卓に突っ伏した。
 激しい頭痛に襲われ、息が乱れ、思う様に呼吸が出来ない。
 額から、脂汗が滲み出る。
 大広間に集まった者達が心配そうに見守る中、彼の横で様子を伺っていた大魔王が独り言を呟く様に言った。

「……死皇帝の魂……闇の記憶か……闇の力に慣れたとは言え、記憶領域に直接闇の記憶が入り込んだんだ……苦しむのも無理はない……」

 彼の言葉が大広間に小さく響く。
 その場に居合わせている仲魔達がどよめき、壁に掛けられている蝋燭の炎が、大きく揺れる。

「た、魂の記憶だと……?」
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