第7章 ・死皇帝
ゾロは、静かな口調で、しかししっなりどルシファーを見詰め訊ねる。
「……その『死皇帝』……そいつは一体、何者なんだ……?」
やっと疑問を口にしたその時。
真剣な眼差しをルシファーに向けるゾロの様子に、蛇に乗った魔王……『アスタロト』が挙手し、大魔王に臆さず訊ねる。
彼も七十二柱、序列は二十九番の大公爵……ルシファーの重鎮の一柱である。
「閣下……まさかロロノア・ゾロには、まだ何もお伝えしていないのですか?」
「うん、まだ何も。この会議の中で話そうと思ってね」
飄々と答える大魔王に、アスタロトは半ば呆れつつ、思わず苦笑する。
彼は、首を二度三度、横に振った。
「閣下……こんな時にお戯れを……重大な案件でございましょうに……」
「まあ、そう言ってくれるな。ゾロの分析結果も出たのでね、合わせてこの場で皆に報告しようと思っていたのさ。ゾロ、悪く思わないでくれよ」
笑みを浮かべてそう言うルシファーに、ゾロもまた、不敵な笑みを浮かべた。
「……勿体ぶりやがって……こうやっていっつも楽しんでるんだろ?全くいい性格してやがるぜ……」
「残念ながら、何時も……ではないよ。僕は気紛れなんでね……これは面白い、と思った時だけ、そうするのさ」
そう言って、大魔王はゾロの横で笑った。
ゾロはそんな大魔王を呆れ顔で見上げていたが、彼の余りの滑稽さに、思わず吹き出し大笑いするのだった。
大広間にいる仲魔達は、彼が大笑いする姿に驚き、顔を見合わせる。
そしてその後、彼等も自然と笑顔になって行った。
ルシファーは、隣に座る友の笑い声を少しの間聞いた後、静かな口調で、昔話を語り始めた。