第7章 ・死皇帝
「おれは、ロロノア・ゾロだ。縁あってここに来た。お前、デカくてなかなか強そうじゃねえか。コンゴトモ、ヨロシク、な」
「……これは、やはりそうか……!!しかし……うわっははははは!!!我を目の前にして、その度胸……実に肝の据わった漢だ。そして何より強い……我には判るぞ……ゾロと言ったな。うむ、気に入った!!!こちらこそ、コンゴトモ、ヨロシク……」
アモンがゾロに丁寧にお辞儀をした場面を目撃した護衛の者達は、皆ざわめき立った。
「おお、あのアモン様が……頭をお下げになりやがったぜ……」
「うぉ、うぉれ……ビックリ、ビックリしたっ……!!!」
騒がしくなった護衛達を、槍を持った美丈夫が小声で、しかし威厳のある口調で叱咤する。
「お前達、魔王族の皆様の御前……勤務中であるぞ。私語は慎め」
「く、クー・フーリンの旦那……すまねえ。つい驚いちまって……」
「謝罪より、今は任務を全うしろ。平和になったからと言って、油断は禁物……まだ奴等の残党は存在しているのだからな。お前達、気を引き締めて魔王様方をお護りするのだ。いいな」
オニに『クー・フーリン』と呼ばれた美丈夫は、護衛の者達に激を飛ばした。
叱咤されたオニやトゥルダク達は無言で頷くと、背筋を伸ばし、また護衛に集中する。
(あの者が、噂の……なるほど、一見ニンゲンの様だが、その内には、やはり凄まじい魔力を秘めておられる……)
ゾロの姿を目に焼き付ける様に、彼に熱い視線を注ぎつつ、クー・フーリンは心の中で、そう呟いた。
その間にも、ゾロは他の魔王達と挨拶を交わし続けていた。
そして、魔王族に属する者達が続々と大広間に集まると、ゾロは彼等から注目され、更に熱烈な歓迎を受けた。
(そ、そんなにおれが珍しいのかよ……参ったな……)
流石のゾロも、ここ迄の騒ぎなるとは思わなかった。
少々たじろぎ、後退りする程である。
会議と言う割には、実に騒がしい。
「おい、ベリアル……会議ってよ、何時もこんな感じなのか……?」
ゾロが自分の横にいるベリアルに、声を掛けたその時。
緑色の大きな物体が、突然彼の目の前に現れた。
目にしたゾロは驚いて、その大きさと形に思わず体を仰け反らせる。
「うおおっ!?で、でけえ……!!!」
その緑色の大きな体の持ち主は、勿論、魔王族の一柱である。