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魔王之死刀

第7章 ・死皇帝


(……こ、こいつ……ドエロって言われてもオカ魔って言われても、そこは突っ込まねえのかよ!!!)

 寒気に襲われるゾロと落ち着きのないアドラメレクに、堪らずベリアルが一言物申す。

「お前達、いい加減にせんか。閣下の御前であるぞ、静かにせい、静かに」
 
 眉間に皺を寄せ彼等を咎めるベリアルは、眉間に皺を寄せつつ、更に苦言を呈する。

「ゾロよ、お前さん……オセから『王は何事にも動じず』と言う事を教わったのではないか?お前さんは、魔王族の一員……魔王になる身だと言う事を忘れちゃいかん。アドラメレク、お前さんもお前さんじゃ。立場を弁えよ……いい加減落ち着かんか」

 そう指摘されたゾロは頭を掻き、アドラメレクもバツが悪そうな表情を浮かべつつ、大人しくなった。
 しかし魔界を司る大魔王は、その様子を笑って見ているだけで、注意する事はなかった。
 十数分後、身支度を整え終えたゾロは、大魔王とベリアルと共に、真魔界へと出掛けて行った。
 と言っても真魔界へは、やはり瞬間移動を使って移動した為、一瞬で到着したのだが。
 到着場所は、真魔界にある大魔王城城内、大広間の扉のすぐ側。
 そんな彼等の傍に、あのアドラメレクの姿はなかった。
 ゾロの着替えの現場に立ち会えた事で大満足し、ハイテンションのまま魔王城に戻ったのだ。
 元より、この度の会議は魔王族の会議であるので、どちらにしても彼は参加しないのだが。
 彼が誂えたゾロのスーツは、黒色の生地で仕立てられており、銀の糸で蛇の刺繍が背中から右袖に掛けて施されている、なかなかに派手な一着だ。
 ダークグレイのワイシャツに黒いネクタイ、その右腰には、何時もの様に三振りの刀を帯刀して……と言った出で立ち。
 街を歩けば、人々は彼の為に道を開けるであろう。
 それ程に、凄味のある姿をしている。
 大広間はすぐ目の前なのだが、そこに向かうゾロの足取りが重い。
 彼の様子に気付いたベリアルが、声を掛ける。

「ゾロよ、大丈夫か?顔色が優れない様だが」
  
「ああ……アドラメレクの奴よお……おれが女に興味ねえからって、男に興味ある訳ねえだろうが。おれの裸見て奇声上げるしよお。うるせえったらありゃしねえ……あのド派手野郎、一体なんなんだよ……」

 ゾロは、自分が身支度を整えている間の事を思い出す。
 彼の背筋に、凍り付く様な寒気がが走る。
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