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魔王之死刀

第7章 ・死皇帝


 さて、ゾロが魔界に現れてから五日目の朝。
 この日は、魔王族の会議が行われる日である。
 修業が一通り終わったゾロの元に、ルシファーが訪れていた。
 彼は何時もの様に少年の姿で、黒のハンチング帽に黒のスーツと言う、お気に入りのファッションに身を包んでいる。
 彼を指導していたベリアルは、大魔王に報告をする。

「閣下、我等四名からの講義は、計画通り、今朝を以って全て終了致しました。私からは、ゾロにエンチャントと念動力による刀の攻撃方法、また仲魔の召喚術等を教授致しました。やはり真の姿……死皇帝時の彼の攻撃力、学習能力等、デミゴット時よりも遥かに上昇する様です」

「ふむ、やはり、真の姿になると能力は上がる、か……」

 大魔王の言葉にベリアルは頷き、更に報告を続ける。

「はっ……また、彼は死皇帝時も強くなる為の努力は人一倍、いや十倍……非常にストイックな男で、このベリアル、改めて感服致しました」

 報告が終わるとベリアルは頭を下げた。
 大魔王は満足そうに頷き、彼を労う。

「……流石はゾロ。最強の剣士……大剣豪を目指す為の努力は、どんな姿になっても惜しまない様だね。ベリアル卿、大義であった」

「ははっ」

  ルシファーはその爽やかな笑顔をゾロに向けるが、彼は湖の真ん中に佇む、飴色の大木を眺めていた。
 彼等の話を、他人事の様に聞き流していたのだろう。
 ゾロは、柔らかな視線を自分に向けられている事に気付き、そこでやっと、ルシファーの顔に視線を移した。

「ゾロ、この数日で君は本当に強くなったね。凄く嬉しいよ。でも今日は半日は会議だから、修業が大好きな君には、ちょっと退屈かも知れないけど」

「ああ、それは構わねえよ。違う所にも行きてえと思ってたしな。それに、どんな奴等がいるのか、楽しみだからよ」

 ゾロは笑ってそう返す。
 同じ魔王族……強き魔王達が、一同に会する貴重な会議に出られるのだ。
 
(魔王族……おれよりも遥かに強い奴等が集まる……それだけで血が騒ぐぜ……)
 
 ゾロは、自身の胸の鼓動が高鳴って行くのを感じていた。
 そんな彼の楽しそうな表情に満足しつつ、ルシファーは自分の左手首に付けた、高級な腕時計に目を遣った。

「君は好奇心も旺盛な様だね、それなら問題ないか。さて、そろそろ出掛ける用意を……アドラメレク」
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