第2章 新・アランブール公爵
「そうそう、今思ったのですが…初夜をまだ済ませていませんでしたね」
「な、何を突然!そのような破廉恥なことを…貴族として口にすべきことではありません!」
リリアンヌは顔を赤らめる。
「顔を赤らめるのも可愛らしい。今夜リリアンヌの部屋にお邪魔させていただきますよ」
「嫌です、旦那様に触れられたいと少しも思いませんから」
リリアンヌはそっぽを向くと、ダミアンはリリアンヌの背中をそっと撫でた。
「それはどうでしょうかね、リリアンヌ。ふふ…このような気丈な態度がいつまで続くのかとても楽しみです」
ダミアンはそっと背中に手を入れると、リリアンヌの背中がピクリと動いた。
「んっ…な、何を…」
突然のことにリリアンヌは驚き、慌てて背中を隠した。
「背中に触れただけですよ。ですが今の声…」
ダミアンはリリアンヌ耳元で甘く囁いた。
「とても愛らしい。今すぐにでも抱きたいくらいに…」
ダミアンはリリアンヌが怒り出す前に離れ、そのまま出て行った。
取り残されたリリアンヌは怒りながらもかなり動揺し、しばらくその場から動けなかった。
「あの元平民は一体何を考えているの…分からない…」