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束縛の華と毒

第2章 新・アランブール公爵


すると後ろから専属メイドのクリスの声が聞こえた。

「奥様。元平民ごときに動じる必要はございません」

クリスは以前から仕えているメイドであり伯爵家の令嬢でもある。
リリアンヌは頷いた。

「そうよね。所詮は元平民だもの、純粋な貴族である私とは違うわ」

「その通りです奥様」

二人はダミアンの悪口を話していた。
それをダミアンは扉の外から聞いており、にやりと笑った。

「やはり私の妻は可愛らしい。本当に今夜が楽しみですね…」

ダミアンの手には小さな鍵が握られており、ダミアンはそっとポケットに鍵をしまった。

「さて、私はそろそろ仕事をするとしましょうか」

ダミアンはスタスタと歩いていくが、悪魔のような笑みを隠すのに必死だった。
ダミアンは招いている商人の待つ応接間に向かった。

「今日はどうもありがとうございます、わざわざ出向いていただき。どうぞお座り下さい」

ダミアンは商人を椅子に座らせ、本題に入る。

「今回は大変お世話になりました。私の大切な妻の私物から屋敷、馬車、何から何まで…貴方のお手伝いがなければ時間がかかりましたよ」

ダミアンは優雅に紅茶を飲むと、商人は申し訳なさそうに言った。

「ですがアランブール公爵様、一つだけ見つからないものがございまして…」

「一つだけ?それは何ですか?」

「以前お聞きした、ダイヤモンドのネックレスです。どこを探しても見つからず…砕かれ売られてしまったか、或いは誰かが…」
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