第2章 新・アランブール公爵
「ああ、それですか。ご安心ください、もう解決しておりますから」
紅茶のカップを置き、ダミアンはにこりと微笑んだ。
「それよりも、妻に送る指輪を見せていただきたいのですが…」
ダミアンが言うと、商人は持ってきたケースを慌てて開ける。
中には美しい宝石がたくさん入っていた。
「どれも質の良い宝石ばかりですね。特にこのサファイア…妻の瞳の色そっくりです」
ダミアンは満足そうに見つめ、小切手に金額を描いて商人に手渡した。
一生遊んで暮らせるほどの金額だ
「良い品をありがとうございます。妻もきっと喜びます」
ダミアンの手には短刀が握られており、後ろを向いた商人の背中を刺した。
ダミアンはにこにこと微笑みながら話した。
「あのダイヤモンドのネックレスを知るのは私だけでいいんです。あなたはその金で…あの世に行ってください」
ダミアンが短刀を抜くと血が吹き出た。
ダミアンは冷酷な瞳で商人の死体を見るとズルズルと引きずり、そっと呼び鈴を鳴らした。
すると黒い服を着た怪しい男たちが姿を見せた。
「この汚物を10分以内に片付けてください。妻にバレないようにね」
黒い服を着た男たちが商人の遺体を運ぶ様子を見つめながら、ダミアンは呟いた。
「まあ、あなた方にも後々消えてもらいますがね」
その声は誰にも届くことなく、遺体は外に運び出された。
ダミアンは血まみれの服のまま自室に戻り、そっと小さな鍵で床頭台の引き出しを開けた。
そこにはリリアンヌの祖母の形見のネックレスが入っていた。