第7章 君に負けたくない
『ごめん、私……2人に勝つために、緑谷くんと組むって決めたから』
その瞬間。
「……は?」
「……ふん」
爆豪の眉がピクリと動いて、轟はほんのわずかに目を伏せた。
“想定外”と“納得いかない”が混ざったような顔。
だけど私はもう、振り返らない。
足早にその場を離れる。視線の先には――
「ありがとう麗日さん!僕、頑張るからっ!」
泣きそうな顔でお茶子ちゃんにお礼を言ってる、緑谷くんの姿。
『……ったく、泣かないの。1位になりたいなら、ほら』
肩をぽんと叩くと、彼は驚いたようにこっちを向いた。
「星野さん!?……えっ、えっ、いいの!?一緒に組んでくれるの!?」
『うん。私、君と組むってもう決めてたから』
にこっと笑った瞬間、会場が割れたように沸き上がった。
プレゼントマイク「出たァァァァ!!!決断ッッ!!!星野選手、まさかの緑谷チーム加入ーーーッッ!!!逆転ッ!逆襲ッ!!これはもはや大河ドラマの最終回ーーー!!!」
相澤先生「騎馬戦って、こういう競技だったか……?」
でも、私は騒ぎの中で、そっと拳を握った。
(――この手で取りに行く。
この騎馬戦で、1位を)