第7章 君に負けたくない
「次の種目は、騎馬戦です!」
ミッドナイト先生の声が響いた瞬間、スタジアムがまたざわつき出した。
先ほどまで駆け抜けていた熱が、まだ肌に残っている。なのに、すでに空気は次の勝負へと切り替わっていた。
「ルールは簡単。4人1組でチームを組み、騎手のつけたハチマキを奪い合う。
奪ったポイントがそのまま加算され、時間内に最も高いポイントを保持していたチームが勝ち!」
……知ってる、聞いたことある。
でも、こうして実際に自分がその中にいると、言葉の重みが違って聞こえる。
「そして――今回の注目ポイントはコレだァァァ!!」
\ドンッ!!/
スクリーンに大きく映し出されたランキングが、心臓をぎゅっと掴んだ。
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《障害物競走 順位&ポイント》
1位:緑谷出久 ―― 10,000,000pt
2位:星野 想花 ―― 205pt
3位:爆豪勝己 ―― 200pt
4位:轟焦凍 ―― 195pt
5位以下:5ptずつ減算…
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「トップの緑谷ァ、桁違いの1,000万ポイントだぁぁああ!!」
実況がそう叫んだ瞬間、空気がビリビリした。
そりゃそうだ。
あのポイント、全員が狙いにくる。あの背中には、まだ火が灯ってる。
……そして、私もそのすぐ後ろに立ってる。
「……これ、ほぼ全員に狙われるやつだな。」
誰かの呟きが聞こえて、思わず苦笑いが漏れた。
その時だった。ミッドナイト先生が小さくウィンクしながら続ける。
「さぁ、制限時間内にチームを組んでちょうだい!最大4人、最少2人でもOKよ♪」
次の瞬間――空気が変わった。
視線が、一斉に走る。
緑谷くんを狙う目。
そして、そのすぐ下にいる私たち上位陣にも、確実に刃のような気配が伸びていた。
この戦いはもう、ただの遊びじゃない。
誰と組むか――それが、命運を分ける。