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【ヒロアカ】re:Hero

第7章 君に負けたくない


体育祭当日――

私は今、会場入り口の列に並んでいた。
どこか緊張した空気が漂う中、皆が静かに時を待っている。

(……もう、戻れない)

今日、私はすべてを晒すと決めた。
この“開会式”が終われば、仮面を脱ぐ。
逃げずに、真正面から戦うために。

「行くぞ!ヒーロー科1年A組!」

ミッドナイト先生の声が響き、列が動き出した。

観客席からの熱。
テレビカメラ。一般客。プロヒーローの視線――
すべてが、この場所に集中してる。

(見られてる)

足元からじん、と熱が込み上げる。

隣では爆豪くんが、いつものようにまっすぐ前を見ていた。
ただそれだけなのに、背中から伝わってくるのは、圧倒的な覚悟だった。

「では、選手宣誓――ヒーロー科1年A組、爆豪勝己!」

マイクの前に立った彼が、静かに言い放つ。

「――俺が、1位になる」

ざわめきが一気に広がった。

挑発的で、堂々としていて。
その言葉だけで、場の空気が爆豪勝己に塗り替えられていく。

「せめて、跳ねの良い踏み台になってくれ」

その一言で、会場がピリついたのがわかる。
舌打ち、冷たい視線――敵意が一斉に向く。

でも彼は、意に介す様子もなくマイクから離れようとして――

「……あ〜、星野想花」

突然呼ばれて、私は肩を跳ねさせた。

『……な、なに?』

「俺が1位になったら――お前、俺の女ってことで」

さらっと、にやっと。
まるで軽口みたいに言ってのけたその一言が、心臓をぶち抜いてきた。

『は!?何それ!?意味わかんない!!』

顔が一瞬で熱くなるのがわかる。

「っ……バカツキ!!」

叫んだ瞬間、ざわ……っと周囲がざわめいた。

「え?今の……バカツキ……?」
「え、バカツキって何……?」

爆豪はそのまま、にやついた顔で列に戻ってきた。

(……ほんっと、あいつ……!)

体育祭の幕開けにしては、
ちょっと――いや、かなり心臓に悪すぎる。
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