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【ヒロアカ】re:Hero

第7章 君に負けたくない


「……なんか、めっちゃ見られてない……?」
「てかなんで他クラスの奴らが……」

ざわつくA組。
教室のドアの外――廊下には、見慣れない生徒たちが並んでいた。

その無言の圧に、空気がじわりと張りつめていく。

(……あからさまに、敵意)

息をのんだその時。
B組らしき男子がニヤつきながら声を投げてきた。

「よう、A組さん。ちょっと事件で注目されたからって、いい気になってんじゃねぇの?」

一気に空気が凍りつく。

「体育祭って全学科対象だよな? ヒーロー科だけの舞台だと思ってないよな?」
「テレビで注目されるのは、あんたらだけじゃないってこった」

皮肉と挑発。
教室内の空気が少し引いた。

「……いや、そんなつもりで目立ってたわけじゃ……」
「うわ……当たり強い……」

私は、ただ静かにその視線を受け止めていた。

(……体育祭って、戦いなんだ)

注目されるってことは、狙われるってこと。
“試されてる”んだ、私たちは。

後ろでは、轟くんが無言で相手を見つめていた。
冷静で、ぶれないまなざし。

そして――

「どけよ、モブ共」

爆豪の低く鋭い声が、空気を一変させた。

「邪魔だ。見せもんじゃねぇんだよ、クソが」

仁王立ちで睨み返す彼の姿に、引く様子は微塵もない。

(……すごい)

堂々と真正面から返す、その強さ。

B組の一人が肩をすくめて笑った。

「さすがだな、A組トップさんは」
「当日が楽しみだねぇ?」

そのまま、生徒たちは廊下から去っていった。

……残された空間に、沈黙が落ちる。

「……あっぶな、マジ一触即発だったな」
「でも、わかった。“勝たなきゃ”なんだ」

その呟きに、胸の奥がじんと重くなる。

『……見られてる。狙われてる』

浴びた注目は、光ばかりじゃなかった。
羨望、嫉妬、敵意――全部、ぶつけられる。

(……負けられない)

そのとき、隣で爆豪がぽつりと言った。

「チャンスだって言ったろ。全部まとめて、ぶっ潰しゃいい」

横顔は静かで、でも熱かった。

私は、自分の中の決意を、そっと握りしめた。
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