第24章 想いを、繋ぐために
少女は、少しだけ唇を噛み、それでもまっすぐに言葉を紡いだ。
『……きっと、今回の戦いで……たくさんの方が、傷ついたと思います』
『愛する人を失った方も、いらっしゃると思います』
『……守られなかった命に、どうしてって……思っている方も』
少し震えた声。
けれど、決して揺らがない瞳が、まっすぐにカメラの向こうを見据えていた。
『……そして、荼毘の放送を見て……これまで信じていたヒーローを、信じられなくなった方も……きっと、たくさんいらっしゃると思います』
言葉は穏やかだった。
でも、そのひとつひとつが、胸に刺さるほどの真実だった。
少女は、ただそれを否定するでもなく、咎めるでもなく――
痛みを、共に感じるように語っていた。
『……でも、私は……』
少しだけ、声が小さくなる。
『それでも、信じることを……やめないでほしいんです』
その願いは、祈りのようだった。
『誰かのことを信じるって……とても怖くて、勇気のいることだと思います』
『裏切られることもあるし……届かない想いも、あるかもしれません』
それでも、と少女は続けた。
『私は、この目で見てきました。たくさんのヒーローたちが……たとえ命を懸けても、“誰かを守る”って決めて、戦う姿を』
『そして……それは、ヒーローだけじゃありません』
ふ、と目元に優しい光が灯る。
『傷つけ合うことでしか生きられなかった人たちが……最後の最後で、誰かを救おうとした姿も、私は知っています』
『憎しみのなかでしか進めなかった人たちが、それでも――誰かの命を、繋ごうとしていたことも』
まっすぐな声が、ヘリの中に、そして中継の先に届いていく。
『私は……それを、真実だと思うんです』