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【ヒロアカ】re:Hero

第24章 想いを、繋ぐために



壊理ちゃんと手を繋いで、ただ静かに見つめ合っていた。
その小さな頷きが、胸の奥に灯をともす。

私は、優しくぎゅっとその手を握る。

――それだけで、怖さなんて、吹き飛んでいく気がした。

ふと、視線を感じて振り返る。
オールマイトが黙ったまま、私たちを見ていた。
言葉はない。
でも、あの瞳がすべてを受け止めてくれているのが分かる。

胸がきゅっとなった。
昔、あの背中にずっと憧れていた。
だけど今――あの人の前で、私はもう、誰かを守りたいと思っている。

テレビの音がふと変わった。
爆煙が晴れて、映し出されたのは……傷だらけのヒーローたち。
その奥で、ヴィラン連合の姿が、ゆっくりと引いていく。

「……撤退した……」

誰かがそう呟いたのが聞こえた。

私は壊理ちゃんの手をもう一度、握り直す。
この手が、誰かの“願い”に応える力になるなら。
信じて、前に進みたい。


『……いこっか、壊理ちゃん』


まだ崩れた街の中。まだ終わってなんかいない。
でも、今なら――
“私たち”があの場所に向かう意味が、ちゃんとある。

背後から、また視線を感じた。
オールマイトが立ったまま、少しだけ身を乗り出していて。

……その表情に、ほんの少しだけ、嬉しそうな気配があった。

驚いた。
だって、あの人はずっと、“見守る”ことしかできない立場だったはずなのに。
それでも今、この瞬間を“共に歩んでいい”と感じてくれたのだとしたら。

私の胸が、またひとつ熱くなった。

だから、振り返らずにふっと笑って言う。

『……オールマイトも、行きますか?』

一瞬、気配がふるえた。
やがて、静かに、優しい声が返ってくる。

「……ああ。よければ、ぜひ一緒に」

その声が、少しだけ弾んでいた気がして。
私は、何も言わずに頷いた。

この手の中にある光を、その胸にある想いを、
この世界の“再生”へ、ちゃんと届けるために。

――もう一度、私たちは、飛ぶ。
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