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【ヒロアカ】re:Hero

第24章 想いを、繋ぐために


想花 side

小さな手が、私の指をぎゅっと握る。
体はまだ冷たくて、心臓の奥がちくちくと痛んでいたけれど、
この手の温度が――私を現実に、引き戻してくれる。

壊理ちゃんの目が、じっと私を見てた。
泣きそうな顔。でも、怖がらずに。

私はゆっくり膝をついて、その目線に合わせる。

『……壊理ちゃん、私を……助けてほしいの』

ふっと、壊理ちゃんのまばたきが止まる。

でも、否定しなかった。
「どうして?」とも、聞かなかった。
ただ静かに、続きを待ってくれた。

私は深く息を吸って、
心の奥にしまっていた想いを、少しずつ言葉にしていく。

『……街は壊れて、人は傷ついて……悲しみや、怒りや……そういうもので、いっぱいで……』

血に染まった自分の手を見て、唇をかむ。

『――それでも、私は……どうしても、ひとりでも多く助けたい』

泣いてる人の手を握りたい。
叫んでる誰かの声を、ちゃんと聞きたい。
壊れた何かを、壊れたままで終わらせたくない。

それが――私の、“願い”。

『……私と壊理ちゃんのふたりなら、きっと……きっとできる。そう、信じてるの』

私はそう言い終えて、そっと目を閉じた。
小さな肩に背負わせてしまうかもしれない“何か”が、怖くて。

でも――

ぽす、と。

壊理ちゃんが、私の胸にそっと額を預けた。

驚いて目を開けると、彼女の手が、私の手をさらにぎゅっと握りしめていて。
震える声で、小さく言った。

「……お姉ちゃんが、ひとりで行くなら……すごくこわいけど……」
「でも、ふたりなら、きっと……」

その声は震えていたけど、瞳はまっすぐだった。

「……わたし、行く。だって……助けたいもん」

その瞬間、胸がいっぱいになった。
涙がこぼれそうになって、私はそっと彼女を抱きしめる。

『ありがとう、壊理ちゃん……』

壊す力じゃない。
“再生”の力。
ふたりでなら――願える。信じられる。

「……大丈夫。怖くないよ。
だって、私……お姉ちゃんを信じてるもん」

夕焼けのような光が、静かにふたりを包んだ。
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