第24章 想いを、繋ぐために
地鳴りと共に揺れる地面。
突き上げるような衝撃に、空気が震えた。
森がなぎ倒され、黒煙が上がる中、ひと際大きな影が咆哮を上げる。
ギガントマキア。
その巨体が蛇空市へと向かう中、
1Aを中心としたヒーローたちが──命を懸けてその進撃を止めにかかった。
「みなさん! ――今です!!」
八百万が生み出した麻酔弾。
瀬呂と耳郎が音とテープで足止めし、尾白と障子が突撃する。
後方からはMtレディをはじめ、プロヒーローの面々が援護に加わる。
──それでも倒れない。
巨体が吠える。森が裂け、風が唸る。
ひと振りで、建物が瓦礫と化す。
だが、それでも。
「止まれぇええええ!!」
声を枯らし、全員が力を重ねた。
──そして。
バランスを崩したマキアが、
ついに、ひときわ大きな地響きを立てて──地面に膝をついた。
「……やった、の……?」
次の瞬間。
ゴリ、と音を立てて、マキアの上半身がゆっくりと前に倒れる。
大地が軋み、瓦礫と土煙が舞い上がる。
──そして。
巨大な背中が、ようやく地面に落ち着いたその時だった。
ヒーローたちの視界に、
その背中にしがみつくように倒れていたひとつの影が、浮かび上がる。
「……っ」
岩のような皮膚の裂け目、隆起の合間。
その影は、血まみれのまま、静かに横たわっていた。
崩れた瓦礫に押しつぶされるように、
それでもなお──その存在は、あまりに「知っている姿」だった。
風に揺れた銀の髪。
誰もが、言葉を失う。
「…………想花ちゃん……?」
上鳴が呆然と呟く。
誰もが、目を疑った。
否。疑いたかった。
「なんで……あいつが、そこに──」
切島が声を失い、芦戸が「嘘……でしょ……」と震えた声をこぼす。
「……生きて、ますの……?」
八百万が手を口元に当て、呆然とその姿を見つめる。
まるで、死体のようだった。
けれど、確かにそこにいた。
誰よりも強くて、誰よりも優しくて。
何より──自分たちの「仲間」だった少女の姿が。
誰も、言葉を出せなかった。