• テキストサイズ

【ヒロアカ】re:Hero

第20章 仮面と素顔


荼毘side


……やっぱ、うるせぇ。

トゥワイスの声が反響する部屋の中。
寿司を前に、笑って、騒いで、じゃれ合って。

あいつら、どこまで本気でこの状況ふざけてんだか。

俺は相変わらずソファに体を預けて、
天井見上げながら、どうでも良さそうな顔で座ってた。
でも、意識は――ひとり、別の場所にあった。

 

カゼヨミ。風使いの新入り。

こっちにきてから、ずっと妙なやつだと思ってた。
無駄に冷静で、どっか達観してて、どこまでも“線”を引いてる。

それでいて、戦闘力は高ぇ。
そして――俺の前じゃ、いつも睨むか、警戒するような表情しか見せねぇ。

 

(……そういや、“あの女”もそうだったな)

雄英のヒーロー候補生――想花。
あの、ホークスの女。

俺に会えば、必ず警戒の目を向ける。
睨みつけるか、息を潜めるか――あの手の目をずっと見てきた。

無理もねぇ。
“先生”の命令とはいえ、俺はあいつを“壊す”ために動いてた。

むしろ楽しんでたくらいだ。
壊したくなるほど、綺麗で、眩しくて、……気に食わなかった。

 

ふと、視線を戻す。

あいつらの中心で、騒がしく皿を押し付けられてるカゼヨミの姿。
それを半分呆れながら、受け取って――

 

笑った。

ほんの一瞬、目を細めて、口元がわずかに緩んだ。

この中で見せるには、あまりにも自然で、あまりにも“人間らしい”ほころび。

思わず、呼吸が止まった。

 

あの表情――知ってる。

脳のどこかが反応した。
曖昧だった違和感が、輪郭を帯びて浮かび上がってくる。

 

(……なんで、今――思い出す)
/ 664ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp