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【ヒロアカ】re:Hero

第19章 交差する影、歪む真実




画面が激しく揺れた。

黒い腕が鋭く伸び、啓悟の身体をビルの壁ごと遠くへ弾き飛ばした瞬間だった。

 

『……っ!』

ゴーグルが砕け、割れたレンズの隙間から血が静かに伝っているのが見えた。

それだけで、胸の奥が締めつけられるように痛んだ。

 

次の瞬間にはもう、私は立ち上がっていた。

『……やめて……』

 

頭の中を、絶望の稲妻が走った。

“殺される——”

彼が、あの場で倒れる未来を、ほんの一瞬でも想像してしまったことが恐ろしくて。

胸の奥が冷たく締めつけられ、吐き気が込み上げてくる。

 

「想花?」


焦凍の声が遠くから響く。

彼が握っていた手が、不安げに私の腕を掴む。

まるで何かを止めようとしているみたいだった。


『……私、行かなくちゃ……』

 
そう、自然に口をついて出た言葉。

手が、胸の前にそっと触れる。


空間がゆるやかに歪み、世界の境目がほのかに波打ち始める。

このままなら、彼のもとへ。

走り出せる。


だが、その刹那だった。


――バチッ。

 

『……!?』


身体中に電流が走るように、全てが固まった。

個性が、音を立てて封じられた。


まるで世界の時間が、一瞬止まったかのように。


「星野……何をしようとしている」


低く、鋭い声が背後から響く。


振り返ると、そこには相澤先生の冷静な瞳が、私を静かに射抜いていた。
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