第19章 交差する影、歪む真実
「……あの人たち、ヒーロー……?」
壊理ちゃんが、私の横にちょこんと立って、小さな声で尋ねてくる。
『うん、すっごく優しくて、かっこいいヒーローたちだよ』
そう答えると、彼女は私の手をぎゅっと握りながら、ちょっとだけ顔をのぞかせる。
その視線に気づいたマンダレイが、優しい笑顔でしゃがみ込むと、ゆっくり手を差し出した。
「壊理ちゃん、はじめまして!私たち、ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!今日からよろしくね〜!」
壊理ちゃんは少しだけきょとんとして――それから、そっと手を伸ばす。
そして、小さな手でぎゅっと握り返した。
「……よろしくお願いします」
それだけで、マンダレイの顔がぱぁっと明るくなる。
「かわいい〜っ」とすぐ横でピクシーボブが声を上げて、ラグドールもニコニコしながら頷いていた。
その後ろでは、虎さんが腕を組んだまま、ふっと目を細めて一言。
「……安心した」
壊理ちゃんはまだ少しだけ緊張してるみたいで、私の後ろにそっと身を寄せてくる。
私はそれを感じて、さりげなく手をつないだまま、彼女の背中にそっと手を回した。
そして、彼女が小さく私の方を見上げて――ふわっと、あたたかく笑った。
「……ねぇ、おねえちゃん」
『ん?』
「このひとたちとも、仲よくなれるかな」
その言葉があまりに愛おしくて、胸の奥がじんわりあったかくなる。
『きっとなれるよ』
私はそう言って、そっとその手を握り返した。
あの日の地下で、壊理ちゃんと私の時間はほんの一瞬だったかもしれない。
だけど、確かに繋がった絆がここにある。
この場所で、少しずつでも、彼女が笑ってくれるなら――
それだけで、私は、嬉しい。