第19章 交差する影、歪む真実
階段の方から賑やかな声が聞こえてきたのは、午後の談話室があたたかい空気に包まれていた頃だった。
「おーいっ!1-Aの諸君!元気にしてたかーい!?」
突然響いたそのテンションの高い声に、談話室が一気にざわめく。
「……まさか!?」
「この声、聞き覚えある!」
バンッと開いたドアの向こうから姿を見せたのは、
珍しく私服に身を包んだ、個性豊かなヒーローたち――
「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ、揃って参上〜!!」
「……ほんとに来たーーっ!?」
「しかもラグドールもおるし!!」
先頭のマンダレイが元気よく手を振り、
ピクシーボブが華麗にポーズを決めて、
ラグドールがふわふわとした笑顔でみんなに手を振る。
その少し後ろで、がっしりとした体格の虎さんが、
少しだけ照れくさそうに腕を組んで立っていた。
「今日はラグドールの復帰報告と、ちょっとした挨拶に来させてもらった。……迷惑だったか?」
低い声でそう言う虎さんに、耳郎ちゃんが「むしろ大歓迎っスよ!!」と叫んで、みんなが一気に笑顔になる。
そして、ラグドールが前に出る。
「心配かけちゃってごめんね〜!サーチは戻らなかったけど、身体はもうバリバリ元気だからさっ!」
「これからは後方支援って形になるけど、ヒーローとしてまだまだ頑張るから、よろしくね〜っ!」
その明るい声に、自然と拍手が起こる。
そして後ろから、もうひとりの来訪者がちょこんと顔を出した。
「……洸汰くん!」
「うわ、久しぶりーっ!」
「相変わらずかわいい……」
「う、うるせぇっ……!」
頬を赤くしながら照れる洸汰くんの頭に、虎さんが無言でぽんと手を置く。
「おまえ、ちゃんと礼を言えよ」
「……っ、わかってるって」
そのやりとりに、みんなが思わず笑みをこぼした。