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【ヒロアカ】re:Hero

第18章 きみの隣、それがすべて


ホークスside


文化祭の終盤、
ステージの前で騒ぐ生徒たちの中に――

彼女がいた。

 

青いリボンが制服の胸元で揺れて、
キラキラと笑うその顔が、まぶしくて。

そのまわりにはクラスメイトたちがわっと集まって、
「おめでとー!」とか「さすが!」なんて言いながら
誰もが彼女を祝福してた。

ミスコン、堂々の第1位。
当然の結果やろ。

 

ほんとに、よかった。

 

ああいう顔、もっとたくさん見てたい。

……そう思った、ほんの数秒後だった。

 

ポケットの中が震えた。

スマホ。非通知。

鳴動を見ただけで、心がさっと冷える。

まわりの喧騒が遠ざかる。

 

人波から一歩だけ離れて、背を向けた。

通話ボタンを押すと、すぐに声が聞こえた。

 

「……楽しそうじゃん、ホークス」

くぐもった声。
けど、すぐにわかる。

 

「……荼毘」

「アイツ、よかったな。まさかミスコン出るとはなぁ」

「……で、要件は?」

「さすがヒーロー。話が早い」

数秒の間のあと、短く言葉が続いた。

 

「これから、“いつもの場所”に来い。時間は……今夜、0時」

 

……切れた。

画面が暗くなると、さっきまでの賑やかさが急に遠くなった気がした。

 

もう一度彼女の方を見る。

クラスメイトに囲まれて、笑ってる。

その笑顔を見て、
胸の奥でなにかがざらっと動いた。


今日だけは、
何も考えずに、ただ一緒にいられるはずだったのに。


でも――
そう簡単に、手放させてはくれんか。


ヒーローとしての顔を保ったまま、
俺はもう一度、ポケットに手を差し込んだ。
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