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【ヒロアカ】re:Hero

第18章 きみの隣、それがすべて


会場side

ふわり、ふわりと舞い降りる花の結晶。

それはまるで、空から祝福が降ってきたみたいで――
どこまでも静かで、美しかった。

白く透き通った結晶が、
頬を、髪を、肩を優しく撫でるたび、誰もが息を呑んでいた。

会場全体が、まるで魔法にかけられたように静まり返っていた。

拍手も、歓声も、ひととき忘れて。
ただ、見つめていた。

 

その光の中心にいたのは――
小さな女の子と、青いドレスの少女。

微笑みながら空を舞うその姿は、ヒーローでも、天使でもなくて。
まるで、絵本の中から出てきた“希望”そのものだった。

 

光の余韻が静かに消えていく。
空から降り注いだ花が地に舞い落ち、ゆっくりと消えていく。

まるで、それが現実ではなかったかのように――

 

司会者も、マイクを持ったまま動けずにいた。

あまりの光景に、言葉を探す間すらなく呆けてしまっていたのだろう。

 

「…………」

少しの間を置いて、観客席のどこかから、ぽつりと拍手が起きた。

それをきっかけに、まるで我に返ったように、会場全体が拍手と歓声に包まれる。

割れるような拍手。
温かい歓声。
誰もが、さっき見た光景に、心を奪われていた。

 

司会者がようやくマイクを握り直す。

「……え〜っ……と……!
では、ありがとうございました!
1年A組、星野想花さんのアピールでした……!!」

少し声が震えていたのは、その余韻のせいかもしれない。

「続いては――1年B組、拳藤一佳さんのアピールに移らせていただきます……!」

 

けれど、観客の視線はまだ、空を見ていた。
光の名残のような幻想が、目の奥に焼きついていた。

それほどまでに――

あの少女が見せた“想い”は、美しかった。
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