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【ヒロアカ】re:Hero

第18章 きみの隣、それがすべて



(……え、まさか……)

薄々感じていた嫌な予感が、喉の奥で確信に変わる。

そして――

「……ちょうど、いい宣伝にもなったっちゃね」

啓悟がぽつりと呟いたその言葉に、私は思わず立ち止まる。

『……宣伝?』

「ミスコン、出るんでしょ」

『……そうだけど――まさか』

「出るって聞いた瞬間から、おれ今日来るしかないって思ったもん。
……ちょっとでも、変な虫つかんように、先に釘刺しとかななって」

その言葉に、私は耳まで真っ赤になった。

『それって、もしかして……あーんとか、手繋いでたのも……』

「ぜ〜んぶ、計画通り」

ニヤリと悪戯っぽく笑う彼。
でも、その目だけは、本気で――

「おまえが誰のもんか、ちゃんと見せときたかっただけやけん」

そう囁かれた瞬間、
心臓がふっと浮くように高鳴った。

文化祭の喧騒の中で、彼の声だけが、世界の中心みたいに響いていた。

 

そして遠くから、放送が流れる。

「まもなく、第一体育館にてミス・雄英コンテストが開始されます〜!」

そのアナウンスに、またお茶子ちゃんたちの歓声が上がる。

「やばっ!想花出番だよっ!!」
「頑張ってー!でもその前にちょっとキスしてー!」

『ちょっ、やめてってば!!』

慌てて手を離そうとする私を、啓悟がしっかり握り返す。

「行っておいで。ちゃんと、ステージの下で見とるけん」

その言葉に背を押されながら、私は照れと緊張で胸をいっぱいにして、ステージへと向かった。

――啓悟が、見てる。
それだけで、私の中に火が灯るようだった。


……が、その直後。

「えええええ!?!?!?」

「ちょ、ちょっと待って!?!?今のホークスだったよね!?!?」

第一体育館へ向かう私の背後で、三奈ちゃんとお茶子ちゃんの叫び声が爆音で響いた。

「やばいって!ガチ!?え!?!?」
「何あの流れ!?完全にカップルだったよ!?っていうか“彼氏”!?!?」

一気に声が遠ざかる中、耳まで真っ赤になりながら思わずつぶやく。

『……気づくの遅い……』

その隣で、誰よりも涼しい顔で手を振っていたのは、翼を堂々と広げた、ホークスその人だった。

……ぜんぶ、仕組まれてた。
あの人なりの“独占欲”と、“牽制”と――ちょっとした、いたずら心。

それでも。
――その全部が、わたしには、嬉しかった。
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