• テキストサイズ

【ヒロアカ】re:Hero

第18章 きみの隣、それがすべて



「お疲れーッ!!」
「最高だった!!マジで伝説レベル〜!!」

教室中に飛び交う歓声とハイタッチの嵐。
音楽が終わっても、胸の高鳴りは止まらない。

『……ふふっ、すごかったね、ほんと』

額の汗をぬぐいながら笑うと、みんなも満面の笑顔で返してくれる。

「ねえねえこのあとさ、文化祭一緒にまわんない?」
「出店も気になるし〜!ね、星野も行こ!」

三奈ちゃんがにっこり笑って手を引こうとする。

でも私は、そっとその手を取らずに――

 

『……ごめん!待ってる人がいるの!』

 

「え〜っ!?だれだれー!?彼氏〜!?」

「え!?誰かと約束してたの!?」
「えーっ気になるんだけどぉ〜〜!」

みんなの声が追いかけてくるけど、私は笑って手を振って教室を飛び出した。

 

(……わたしには、もっと大切な約束があるの)

彼と会えるのは、数週間ぶり。
文化祭を楽しみにしてたのは、きっと私だけじゃない。

あの日、寮の屋根の上で囁いてくれた――
「時間できるたび、会いに行くから」って約束。

その言葉をずっと心の奥で抱きしめてきたから。

 

(絶対、探し出す)

人混みをかき分けるようにして校舎を抜けて、メインストリートへ。

音楽と笑い声と、模擬店の香り。

きょろきょろと人波を探すなかで、

 

――ふわり。

どこかで見覚えのある、赤。

 

『…………いた。』

 

陽に照らされて揺れるそれは、迷わず“彼”だと分かる存在だった。

どんなに隠そうとしても、きっと彼だけは目立ってしまう。
いや、むしろ隠す気なんてないのかも。

キャップを深くかぶって、ベンチにもたれながら――
彼は、待っていた。

 

(……ほんと、ばればれ)

呆れ半分、でも胸がぎゅっとなるほど嬉しくて。
足が自然と速くなる。

私の今日いちばんの目的地が、そこにあった。
/ 664ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp