• テキストサイズ

【ヒロアカ】re:Hero

第17章 死穢と光の狭間で



地面に、着地の衝撃が残る。
それでも、私はもう怯えていなかった。

すぐ隣には、緑谷くん。
その腕に、壊理ちゃんがしがみついている。

 

さっきまでの彼の身体は傷だらけだった。
だけど、もうそれも微塵も残っていない。。
……だって、彼女の力が確かに動いている。

 

私は、ふたりの前に立つ。

 

『……デク』

 

彼が、目を見開いた。

 

『壊理ちゃんの個性が発動してるうちは――あなたの身体は、“壊れない”』

 

彼の肩が、ほんの僅かに震える。

でも、その瞳は強く光っていた。

 

私はそっと、壊理ちゃんの方に向き直る。

 

『……壊理ちゃん』

『このお兄ちゃんに……力を貸してくれる?』

『あなたの中の“やさしさ”が、きっと――この怖い時間を終わらせてくれるから』

 

彼女は、少しだけ怯えながら、でも、うなずいた。

その小さな決意が、胸を熱くする。

 

『ありがとう』

私は小さく笑って、立ち上がる。

 

『あとは、任せたよ』

 

そして、駆け出す。

逆の方向へ――
取り残された命たちがいる、瓦礫の中へ。

 

“私には、私の守るべき場所がある。”

それを信じて、空気を切るように走った。
/ 664ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp