• テキストサイズ

【ヒロアカ】re:Hero

第17章 死穢と光の狭間で



――ドン。
轟くような破裂音が、階下まで届いた。

それはもう始まっているという合図だった。
プロヒーローたちが、アジトに踏み込んだ。
確かな破壊の気配と、怒号、そして崩れる壁の振動。

上階の騒ぎが、遠くて近い。
戦いの波が、今この足元へと迫ってきていた。

 

けれど、ここは静かだった。

私は容姿を変えている。
鏡に映れば、自分ではない“誰か”の顔。

その姿で、治崎廻、壊理ちゃん、クロノと共に、
地下の奥へと進んでいた。

壊理ちゃんは私の手を握っている。
怯えてはいるけれど、確かに、歩いていた。
彼女なりの“覚悟”を持って。

治崎はいつも通りの歩調で、
淡々と前を見据えていた。
クロノもまた、視線を背後へ配りながら静かに同行している。

 

その中で私は――
静かに息を整えていた。

(ここを抜ける。絶対に)

“壊理ちゃんだけは、絶対に連れて出る”
その意思が、身体の奥で燃えていた。

 

そして、次の瞬間――

背後から、
気配が走った。

 

この空気を知っている。
この“存在”を、私は忘れていなかった。

言葉にはしない。
振り返りもしない。

でも、確かにそこに――
**“通形ミリオ先輩”**が、いた。
/ 664ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp