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【ヒロアカ】re:Hero

第14章 仮免の向こう側【R18】


店を出て、柔らかい初夏の風が髪をくすぐった。
博多の街並みはどこか賑やかで、歩くだけで心が弾む。
啓悟は私の手をしっかりと握ったまま、街路を歩く人の視線なんてお構いなしだ。

『……手、離さないの?』

小さく尋ねると、啓悟は前を見たまま口元だけで笑った。

「やだ。」

『……子どもみたい。』

「俺のが年上なんやけどな。」

ふっと笑って振り返る目が、街灯に反射して金色に光った。
こんな人が私の――そう思うだけで胸が苦しくなる。

少し歩いた先で、啓悟に気づいたファンの人たちが数人駆け寄ってくる。

「あ、ホークスさん!やっぱ本物やん!サインください!」

啓悟は「よかよかー」って軽く手を振って応じる。
でも私の手は握ったままで、離す気配もない。

「……え、え、横の人……」

サインを待つ間に、ファンの女の子がちらりと私を見て小声で言った。

「彼女さん……ですか……?」

啓悟はサインを書きながら、肩を揺らして笑った。

「んー?どげんやろなー。」

そして、書き終えたペンを渡して、わざとらしく私の肩を抱き寄せる。

「でも、俺の可愛かろ?」

唐突な自慢に、女の子たちが「ひゃっ……!」と声を上げる。
私の頬が一気に熱くなるのを見て、啓悟はわざとらしく目を細めた。

『ちょ、ホークスっ……!』

「だって、可愛かろ?なぁ?」

小声でそう囁いて、満足そうに笑う。
ほんとに――ずるい人だ。

『……もう…ばか』

けど、手を離さないくせに
たまにファンサで博多弁になるその横顔が、
少しだけ誇らしくて、くすぐったかった。
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