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【ヒロアカ】re:Hero

第14章 仮免の向こう側【R18】


夜の寮の自室。
ベッドの上で膝を抱えながら、スマホの光だけが頬をぼんやり照らしてる。
制服を脱いでパジャマに着替えたのに、胸の奥はまだ試験の余韻でドクドクしてる。

『……啓悟……出るかな……』

深呼吸して、登録した名前をタップした瞬間、呼び出し音が鳴るたびに胸がくすぐったくて落ち着かない。

「……もしもし、想花?」

優しくて、少しかすれた声。
聞こえた瞬間に、思わず小さく息が漏れる。

『……啓悟、私……仮免、受かったよ。』

「だろうな。お疲れ様。」

電話越しに低く笑う声が心地よくて、胸の奥がじんわり熱くなる。

「で?どうだった、初めての仮免は。」

『……んー……思ったより大変だったけど……。でも、すごく楽しかった。』

「ふーん、そっか。」

ちょっとした笑い声が混じって、布団越しに指先がくすぐられるみたいに胸が高鳴る。

『途中で焦凍とか勝己とも会えなかったし……
でも、助けたい人がいっぱいいて……だから夢中で動いてた。』

「……そう。」

啓悟の声が少し低くなる。
でも、すぐに優しい息が混じって返ってくる。

「頑張ったな。……ほんと、いい子。」

『……啓悟……』

名前を呼ぶと、向こうで小さく笑う声が聞こえる。

「で?約束は?」

『ちゃんと、忘れてないよ?……明日、楽しみにしてる。』

「俺もだよ。明日はちゃんと空けた。想花が仮免とったお祝いだし。」

『……ほんとに……?仕事、大丈夫なの?』

「俺の都合なんか気にすんなって。……俺も早く会いたいんだから。」

その一言が甘くて、胸の奥がとろけそうになる。

『……おやすみ、啓悟。明日……楽しみにしてるね。』

「おやすみ。……楽しみにしてろ。」

通話が切れても、まだ耳の奥に残る声が温かい。
スマホをぎゅっと抱えたまま、ゆっくりと目を閉じた。
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