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【ヒロアカ】re:Hero

第14章 仮免の向こう側【R18】


夜嵐くんと真堂くんが軽口を交わしている横で、
私は肩の力を抜いて笑っていた。

試験会場の外から、少しずつ他の声が近づいてくる。

――カツン。

靴音が一つ、真っ直ぐ私のほうへ。

『焦凍……お疲れさま。無事で良かった。』

彼は目を伏せて、少しだけ息を吐く。

「……俺は、全然まだまだだ。」

『そんなことないよ……焦凍もすごいよ。』

焦凍の瞳が、悔しそうにだけどどこか強く光る。

「……お前、十数分で……一人で百人以上倒したんだろ。」

小さく言った声に、夜嵐くんが「マジすげぇよな!」と相槌を打つ。

でも焦凍は笑わない。

「……次は俺が追いつく。」

『……うん、待ってる。』

小さく頷いた私の手を、焦凍がぎゅっと握った。

『……焦凍……』

焦凍の手のひらの温度が、
まだ緊張してるのが分かる。

「一緒に……絶対勝つから。」

少しだけ目を細めて、焦凍が指をほどく。

そのタイミングで、

「おーい、いたいた!!」

声を張り上げて、切島くんと上鳴くん、三奈ちゃんたちがドドドッと入ってきた。

「お前すげーな!!何やったんだよ、星野!!」

「さっきまで周り全部お前の話だぞ!?ニュースレベルじゃん!」

『あはは……そんな大したことじゃ……』

後ろで真堂くんが肩を揺らして笑う。

「大したことだって。
……雄英のヒーローは強いな。」

「だな!」と夜嵐くんもガハハと笑う。

その笑い声の中、少し遅れて足音が響く。

「……チッ……」

振り返れば、険しい顔で勝己が入ってきた。

切島くんが「おっ、かっちゃん!」と呼んでも、
勝己は一言も返さず、真っ直ぐこっちを見る。

『……勝己。』

睨みつけるみたいな目の奥で、
一瞬だけ、ふっと笑った気がした。

「……調子乗んなよ、想花。」

低く吐き捨てるその声が、
なんだか一番あったかくて、胸の奥が少しだけ熱くなる。
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