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【ヒロアカ】re:Hero

第14章 仮免の向こう側【R18】


夜の屋根の上。
啓悟の唇が私の唇をさらって、熱がゆっくりと溶けていく。

さっきまで押していたはずなのに、
いつの間にか啓悟の手が私の髪を梳いて、頬を包んで、
まるで逃がさないみたいに何度も何度も、
息を継ぐ間もなくキスが降ってくる。

『……っ、啓悟……っ』

息を漏らす声すら奪われて、
夜風の冷たさなんてもうどこにもない。

『……ん、んっ……』

次のキス、次の熱、指先が私の首筋を撫でるたびに、
体の奥がじわっと熱くなる。

ダメだってわかってるのに、
啓悟の唇が離れるたびに、もっとって体が求めてしまう。

(…啓悟…ほんとずるい……)

何も言えないまま、
もう一度甘く深いキスに沈もうとした、そのとき――

ピリリリリ――

小さな振動と音が、私の胸ポケットを震わせた。

『……っえ、』

思わず目を開けると、至近距離で啓悟も固まってる。

私と啓悟の唇がまだ触れ合いそうな距離で、
携帯だけが無情に鳴り続けた。

『……誰……?』

震える指で携帯を取り出して画面を見ると、
表示されたのは見慣れた名前。

――相澤先生。

『……っ』

思わず啓悟と顔を見合わせた瞬間、
啓悟が「……マジかよ」って小さく笑って額を私の肩に預けた。

「……イレイザー、タイミング良すぎでしょ……」

『……ふふっ……ごめん……』

笑いながらも、胸の奥がまだ熱くて、声が上擦る。

「……あと一分だけ遅けりゃ……全部持ってくのにな……」

啓悟の低い声が、夜風に紛れて胸の奥を震わせた。

でも携帯の震えは止まらなくて、
私たちは逃げるように肩をすくめて笑った。
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