第14章 仮免の向こう側【R18】
ホークスside
夜の屋根の上で、俺は思わず息を呑んだ。
まさか、想花が、俺を押し倒すなんて思ってなかった。
いつもなら、俺が仕掛ける側だ。
でも今は逆で、唇を奪われて、身動きすら取れなくて――正直、頭の奥が熱い。
『…会いたかった……すごく』
震えるみたいに吐き出された声が、胸の奥を直撃する。
甘くて、痛くて、かわいくて、俺の理性を簡単に削ってくる。
――待て。
ここ、学校の屋根の上だぞ。
生徒寮のすぐそばだし、イレイザーにでも見られたら死ぬ。
けど、目の前の想花の瞳が、俺を引き留める。
もっとくれって、もっと欲しいって、そんな目してる。
…くそ、俺が煽ったみたいなもんか。
可愛すぎて頭がどうにかなりそうだ。
『ん……っ』
もう一度落ちてくる唇に、抵抗なんてできなかった。
吐息が混ざるたびに、俺の心臓はひどい音を立てて暴れてる。
これ以上は、さすがに――。
ダメだ、止めなきゃ。
止めたいのに、俺の手は想花の背中をそっと撫でていて、
指先が彼女を逃がすどころか、もっと引き寄せてしまってる。
(……ほんと、どうすんだよ俺。)
屋根の上の夜風なんて何の意味もない。
目の前にある唇と、熱だけが現実だ。
このままじゃ理性が吹き飛ぶ。
頭のどこかで必死に繋ぎ止めた糸を握りしめながら、
それでも心の奥では――
(もう少しだけ……いいだろ。)
って思ってる自分がいる。