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【ヒロアカ】re:Hero

第14章 仮免の向こう側【R18】


『……ホークス……』

「ほら、名前。」

『……啓悟……』

耳元で小さく呼んだ瞬間、
ホークスの笑い声が喉の奥で溶けた。

「よし、いい子。」

背中に回された腕がするりと強くなって、
彼の羽が私の腰を優しく引き寄せる。

「でもさ……ここでくっついてんの、
相澤先生に見られたらオレでも面倒だからさ。」

『えっ……?』

「だから――ちょっと、飛ぶぞ。」

言い終わるより早く、
彼の大きな羽がふわりと広がった。

『……わっ……!』

あっという間に体が浮かんで、
胸元をぎゅっと掴む指に、ホークスがくすっと笑う。

「離すなよ?想花。」

その声が、夜風よりあったかい。

気づけば、さっきまで立ってた玄関は
もう下に小さく見えていて、
代わりに屋根の上の冷たい瓦を
ホークスの靴がコツ、と蹴った。

ふわっと音を立てずに着地して、
私をそのまま腕の中に下ろさない。

「……ほら、ここなら誰にも見えない。」

羽の先が風を切って揺れるたびに、
星空がすぐそこに近くなる。

『……すご……』

「秘密の特等席だ。」

そう言ってホークスが小さく笑って、
私の耳元に顔を寄せる。

「……頑張ってんの、ちゃんと見てるからさ。想花は大丈夫。」

名前を呼ばれるたびに、
胸の奥が熱くなって、足元の瓦が遠く感じる。

『……ホークス……』

「ほら、名前。」

『……啓悟……』

「ん、いい子。」

さっきよりもっと近くで、
唇が触れるか触れないかの距離で、
ホークスの声だけが夜の風に混ざった。
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