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【ヒロアカ】re:Hero

第14章 仮免の向こう側【R18】


土の上に残った火と風の熱が、まだ指先をじんじんさせてる。
でも、もう一つ。
まだ終わらない。

『……もう一つ。』

胸の奥に息を沈める。
背中が冷たくなる感覚と一緒に、肩甲骨の奥が光るみたいにざわめいた。

翼をばさりと広げた瞬間、土が遠ざかっていく。
空気の冷たさが頬を切って、胸の奥の熱をかき消していった。

『……氷と光……!』

掌を前に伸ばすと、指先に冷たさが集まってくる。
同時に、胸の奥で小さく光が瞬いた。

『……形になれ……!』

息を一つ止めると、光と冷気が絡まって、
掌の先に薄く透明な刃が生まれた。

月の光みたいに白く冷たい刃。
その輪郭が、空気の中でじんじん震えている。

『……今だ!』

翼を一度だけ強く鳴らして、
上空から一気に掌を振り下ろす。

刃が空気を裂いて、白い軌道を残したまま地上に向かって落ちていく。

土が一瞬で弾けた。

エクトプラズマ先生の分身が、その光の中で砕け散る。

空中で、小さく息を吐いた。

翼がふわりと風を掴んで、私の体を支えてくれる。

『……やっと……!』

指先から溶けていく光と冷気が、胸の奥までひんやりして気持ちいい。

ゆっくりと地面に降り立つと、
砂埃の向こうでみんなの声が混ざった。

誰かが「……マジかよ……」って笑って、
相澤先生の視線だけがまっすぐ私を捉えてる。

「星野。」

呼ばれて顔を上げたら、
先生が小さく息を吐いて、目を細めた。

「……十分だ。」

その言葉だけで、胸の奥がドクンと鳴った。

『……はいっ!』

拳を握った手が、まだ少しだけひんやりしてた。
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