第14章 仮免の向こう側【R18】
息を切らして土の上で尾白くんと拳を軽く合わせると、
お互いに笑いながら肩で息をしてた。
「はぁ…っ、マジで星野強ぇな…!でも、だいぶ手応えあったわ!」
『尾白くん、すごく動き良くなってたよ!私もちょっと焦ったもん!』
笑いながら言うと、尾白くんが「だろ?」って嬉しそうに胸を張った。
そのとき、背後から相澤先生の低い声が響いた。
「尾白。」
振り返ると、相澤先生が少しだけ目を細めて立っていた。
「お前、尻尾の踏み込みが甘い。攻めに入るとき、あと半歩体ごと入れ。」
尾白くんが真剣に「はい!」って頷く。
「星野みたいな相手とやると、それがはっきりわかるだろ。いい相手を選んだな。」
一瞬だけ先生と目が合った気がして、思わず背筋が伸びた。
『……!』
相澤先生はそれだけ言うと、視線をクラスメイトに向ける。
「おい、次に組みたい奴はちゃんと順番決めろよ。」
「はーい!じゃあ俺、次な!」
「私もー!」
気づけば、何人ものクラスメイトが私たちの周りに集まってた。
『ちょっと、私が相手するわけじゃないからね!?尾白くんのだから!』
「いいじゃん!想花に見てもらえたら得だし!」
「俺も尻尾欲しくなってきた〜!」
「はは、尻尾は生えねーよ!」
笑い声が広がって、グラウンドの空気が少しだけ温かくなる。
尾白くんの横顔が、さっきよりずっと自信に満ちて見えた。