第14章 仮免の向こう側【R18】
笑い声が絶えないまま、お盆の上はみんながくれたおかずでいっぱいだった。
正直、食べきれるかはわからないけど、この空気がたまらなく幸せ。
『ちょっと、みんな太っ腹すぎ…!お腹はち切れるって!』
「残すなよー!」
鉄哲くんがニカッと笑って、またおかずを乗せようとする。
『いらない!もう無理!』
わちゃわちゃの中、背後から元気な声が飛んできた。
「想花!なにそれ楽しそうじゃーん!」
振り向くと、三奈ちゃんが肩に腕を回してくる。
後ろにはお茶子ちゃんと切島くんがいて、みんな笑ってた。
『…うん、すごく楽しい』
「B組に囲まれてんのズルいー!」
三奈ちゃんがほっぺを膨らませる。
「戻ってきてから、なかなか会えへんかったしな〜」
お茶子ちゃんが隣に座る。
「おい鉄哲!星野はA組だぞ!」
切島くんが鉄哲くんの肩をバシバシ叩く。
「は?今日くらいいいだろ!」
鉄哲くんも叩き返して、2人で笑いながら叩き合い。
『ちょっと!机揺れるって!』
お茶子ちゃんがクスクス笑って袖を引っ張る。
「でも、…戻ってきてくれてほんとよかった」
三奈ちゃんは物間くんをじっと見て、いたずらっぽく笑った。
「物間、想花取らないでよ〜?私たちのだから!」
「はぁ!?A組ばっかり得してるだろ!渡すか!」
物間くんが噛みついて、拳藤ちゃんが「はい黙れ」って頭をはたく。
「物間おもしれー!」
切島くんが笑って、みんなもつられて笑う。
ふと見ると、少し離れた席で焦凍が飲み物を持ってこっちを見てた。
隣で勝己が腕を組んで座ってる。
何も言わないけど、ちょっとだけ呆れ顔。
『あ……』
目が合うと、焦凍が小さく笑ってコップを上げる。
勝己はそっぽ向いて「…うるせぇな」って口が動く。
それだけで胸があったかくなった。
『…ほんとに幸せだな』
つぶやくと、三奈ちゃんがニッと笑った。
「でしょ?次はA組の席ね!覚悟しといて!」
『え〜B組にも行く!』
「ダメ!独り占め〜!」
「させるかー!」
物間くんと三奈ちゃんの言い合いに、笑い声がまた食堂に広がっていった。