第14章 仮免の向こう側【R18】
みんなに囲まれたまま、半ば引っ張られるようにテーブルに座らされた。
回原くんがすぐさま自分のおかずをひょいっと私のお盆にのっけてくる。
「はい!これ食え!頑張ってんだから肉は大事だろ!」
『え、いいの?ありがと…!』
「俺のもやる!」
鉄哲くんも豪快に自分の唐揚げをくれた。
『えっ、みんな太っ腹すぎない?』
「どうせすぐ補充するんだし気にすんな!」
鉄哲くんがケラケラ笑ってる横で、拳藤ちゃんが自分の箸でご飯をまぜながらにやりと笑った。
「てかさ、想花戻ってきてくれてほんとよかったよ。
物間とか、毎日毎日“想花はまだか〜”ってうるさかったんだから」
「ちょっと拳藤、余計なことを!」
物間くんが箸を振り上げて抗議するけど、誰も止めない。
『物間くん、そんなに?』
笑いをこらえながら言うと、物間くんはすかさず腕を組んでドヤ顔した。
「当たり前だろ!君がいないとA組の華が足りないんだからな!
ヒーロー科のレベルが下がるだろうが!」
『何それ、私がいるだけでレベル上がるの?』
「当然だ!僕の隣にいるだけで価値が跳ね上がるんだから感謝してほしいくらいだ!」
「はいはい物間うるさい」
泡瀬くんが笑って味噌汁をすすってる。
円場くんが私のすぐ隣で、ほかほかのご飯を頬張りながらこっちを見る。
「仮免、緊張する?大丈夫そう?」
『ちょっと緊張するけど…みんなと一緒だし、頑張る!』
「おお、いい返事!」
鉄哲くんがガッと背中を叩いてくれて、思わず「いたっ」って笑ってしまう。
「想花ちゃんが戻ってきて、仮免も一緒に受けられるのマジで嬉しいからさ」
回原くんがちょっとだけ真剣な顔で言う。
『……ありがと。へへ、なんか嬉しいな』
そう言ったら、みんなが「何だよ〜」って笑って、鱗くんがぽつりと呟いた。
「次の昼も一緒に食おうな。絶対だぞ」
『ふふ、わかったって!』
物間くんが大げさに鼻で笑って、
「まったく、君は僕にもっと感謝していいんだからな!
これからも毎日僕と一緒に飯を――」
「誰が物間とだけ食べんだよ!黙れ!」
拳藤ちゃんのツッコミで、みんなの笑い声が食堂に響いた。
お腹も心も、ちゃんと満たされる。
こんな時間があるなら、どんな訓練も乗り越えられる気がした。